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巨人、大量16人「戦力外通告」の真相 原辰徳監督の戦略と台頭する“第7世代”の実態とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/11/13 17:03
9勝を挙げる活躍を見せた入団2年目の戸郷。巨人の軸を担う存在となることが期待されている
迷走からの脱却のために、まずは補強
そしてその時代から10年の月日が経った。
「とにかくいまは勝つことしか考えない」
一昨年のオフに編成権を含めた全権監督として就任した直後の原監督の言葉だ。
前回の監督時代の最終年となる15年から高橋監督時代の3年間と合わせて4年間の巨人は、まさに迷走期にあった。
その迷走からの脱却のために、原新監督がまず着手したのは、とにかく勝つことだったのである。そのためには育成ではなく補強だった。
フリーエージェントで広島から丸佳浩外野手を獲得し、西武から炭谷銀仁朗捕手を獲った。オリックスを自由契約となった中島宏之内野手にも手を伸ばし、とにかくチームの土台作りを行い「金満」という批判が飛び交った。
それでも5年ぶりの覇権奪回に成功すると、連覇を目指した今年もシーズン中にゼラス・ウィーラー内野手や高梨雄平投手らを獲得するなど、補強を繰り返しながらチームを勝利へと導いた。
「育てながら勝つ」という次の段階に
とにかく勝つ。補強によって2年連続でその最大ミッションを達成した。ただその勝利によって、このオフからはいよいよ「育てながら勝つ」という次の段階に本格的に着手することになる訳だ。
そのノロシとなるのが大量の選手の入れ替えなのである。
ドラフトでは「今年は発掘と育成の元年。3、4年後のドラフト1位を獲れた」(大塚淳球団副代表)と1位の亜大・平内龍太投手ら7人の選手を指名し、さらには育成ドラフトで大量12人の選手を獲得した。
一方、シーズン中には澤村拓一投手をロッテにトレードして、11月2日には藤岡貴裕、田原誠次両投手を含めた4人の支配下選手と10人の育成選手に戦力外を通告した。
さらに3日には17年のドラフト1位入団の鍬原拓也投手と堀田賢慎投手を育成契約に。11日には宮國椋丞投手とナティーノ・ディプラン投手に投手に戦力外を通告し、股関節の故障に苦しむ高木京介投手は自由契約として育成契約を打診する方針を打ち出した。