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味スタ観衆1/5000人になってみた。
ナオの“予言”と室屋の名スピーチ。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byYoshiaki Matsumoto
posted2020/08/21 20:00
この試合を最後にドイツへ旅立つ室屋へ暖かい“拍手”を送るFC東京サポーター。
室屋、良かったよね。また行こうね。
スタンドの優しさが頂点に達したのは、試合後。このゲームを最後に、ドイツのハノーファーへ移籍した室屋のセレモニーだった。
「シーズン途中で移籍してしまうこと、そして皆さんにタイトルをプレゼントできなかったことがすごく残念です。それでも実際にオファーが届いたときに自分の夢だったり、自分がまだしたことのない経験がしたいという強い思いがあり、オファーを断ることができませんでした。もう一つ移籍を決断した理由に若い選手の台頭があります。そういった選手たちが、このチームにタイトルをもたらしてくれると自分も信じています」
主力がチームを出て行くことに寂しさと悔しさを抱くサポーターの心情に寄り添いつつ、自分の気持ちを正直に伝える言葉。そこに、激しくも温かい拍手が送られる。こんな名スピーチが聞けただけでも、猛暑に耐えた甲斐があった。 試合から1時間が経過した飛田給駅のホームで、「2 MUROYA」と「3 MORISHIGE」のレプリカユニフォームを着た親子が話している。
「暑かったねぇ。でも、おもしろかったね」
「うん。室屋、良かったよね。また行こうね。あ、電車、来た来た」
新宿行き特急電車のドアが開く。車内から漏れる冷気が、心地よかった。