月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
バースの再来? 阪神ボーアに夢中。
“おつかい”より感動した初安打。
posted2020/07/01 19:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Kiichi Matsumoto
祭りの予感がした。6月9日のデイリースポーツである。一面ではなく社会面。
『えっ?阪神伝説助っ人が新種の昆虫に!?「バースクシモモタマキノコムシ」』
奈良県で新種の昆虫が見つかり、史上最強助っ人「ランディ・バース」にちなみ「バース」の入った名前が付けられた。ということは……
「生粋の虎党准教授が名付け親」
やっぱり!
その理由もちゃんとしていた。
「新種は、クシモモタマキノコムシ属としては世界で3番目の種、そして体が大きいことから、その新種の日本語名は、かのタイガースの3番打者の『バース』しかないだろうと考え、『バースクシモモタマキノコムシ』と命名しました」(福井大学教育学部准教授の保科英人さん)
虎党のデイリースポーツは問う。「ということはこのグループの虫に4番目、5番目の新種が見つかったら、もしかして……」
保科さんは答えた。
「見つかるかどうかは分かりませんが、順番にカケフ、オカダと名付けたいですね」
見事なオチ。
ここまで読んで私は昨年の強烈な一面を思い出したのである。
『ボーア バースの再来や』(デイリー2019年11月28日)
「バース」は「バス」だった?
巨漢、左打ち、逆方向に軽々と本塁打を打つパワー。
《待ち望んだ新大砲は、伝説の強打者とダブる。メジャー通算92本塁打のボーアは、バースを連想させるスラッガーだ。》
ちなみに本物のバース獲得を伝える1982年12月9日のデイリースポーツの一面は『虎バスが来る』だった。
実は正しい読み方だとバースではなくバスだった。親会社が電鉄会社なのに「阪神がバス購入」などややこしく書かれたため、登録名をバースにしたという。
阪神の新外国人の異名が「バースの再来」。そして新種の昆虫の日本名に「バース」。どう考えても注目しないといけない。スポーツ紙はキャンプやオープン戦からにぎやかになるのは確定だ。私はボーア報道を追うことに決めた。