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アイルランド撃破は奇跡ではない。
日本の信念と4年間積み重ねたもの。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/09/29 12:00
ノーサイドの瞬間、日本代表フィフティーンは喜びを爆発させた。
日本の地力がアイルランドを上回った。
誰かひとりが際立ったプレーを見せたわけではない。
数人の個の力で引き寄せた白星でもない。
アイルランドの強みを打ち消し、自分たちの強みを惜しみなく発揮してつかんだ勝利である。
つまりは、日本の地力がアイルランドを上回ったのだ。
2連勝で勝点を9に伸ばした日本は、史上初のベスト8入りへまた一歩前進した。それでも、選手たちは冷静なのだ。
「まだ何も達成したわけではないので、次のサモア戦に向けてしっかり準備をしたい」と、田村は表情を変えなかった。これが3度目のW杯となる堀江翔太も、「今日よりいい内容にしないとサモアに勝てない。またしっかり準備しないと」と、淡々と言ってもいい口調で語った。
プール初戦で南アフリカを撃破した4年前は、勝利の余韻に浸ったことで直後のスコットランド戦に敗れた。アイルランド撃破が奇跡でも番狂わせでもないから、選手たちは10月5日のサモア戦へすぐに気持ちを切り替えたのである。