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ラグビーPRESSBACK NUMBER
「若い選手が“ここから伸びる”というタイミングで…」元“高校最強”ラガーマンが「退団→職探し」で気づいたリーグワン“プロ化の弊害”
posted2025/07/01 06:01

今季で東京サントリーサンゴリアスを退団した木村貴大。リーグ全体でも退団者が増える中、若手への影響も危惧している
text by

大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Nobuhiko Otomo
東芝ブレイブルーパス東京の2季連続2回目の優勝で幕を閉じた今季のラグビーリーグワン。一方で、シーズンオフに入った後は移籍や引退などで多くの退団選手が発表されている。実は近年、この退団選手の数が加速度的に増えているのだという。果たしてそこにはどんな理由があるのか? また、その現象が意味するものとは? 実際に今季、チームを離れたある選手に話を聞いた。《NumberWebインタビュー全2回の2回目/最初から読む》
トップリーグ時代とリーグワンでの大きな変化は、端的に言えば「プロ化」ということになる。もちろん100%ではないにせよ、2021年のリーグワン発足以降、プロ選手の割合は激増した。
ラグビーが企業スポーツだった時代は、選手自身がその企業の社員ということもあり、ほとんどの場合「退団=引退して社業専念」を意味していた。チームを運営する企業にとっては、引退した元選手を社員として雇用し続ける前提で採用していたため、そもそも採用枠にはおのずと限界があり、退団者も多くはなかった。
プロ選手の増加=現役続行しやすい?
それがプロ契約の時代を迎えたことで、選手は新天地にチャンスを求めやすく、翻って企業にとっては放出しやすい環境になっている。それはラグビーがプロスポーツに変化していく過程では必然的な変化だが、別のチームへの移籍は誰もが順調に決まるものでもない。
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例えば東京サンゴリアスを今春退団した木村貴大は、そんな時代を象徴する、移籍を重ねている選手の一人だ。
木村はラグビーどころ福岡で少年ラグビー時代から活躍し、中学では福岡県中学校選抜の主将を務めて全国ジュニア大会に優勝。全盛期の東福岡高に進むと1年生の春から先輩を押しのけてフランカーのレギュラーポジションを掴み、3年連続で全国高校大会に優勝。
2011年度高校日本代表のイタリア・フランス遠征では主将を務めた。東福岡の同期で、高3で7人制、15人制の日本代表入りした藤田慶和とともに、高校最強ラガーマンとして全国に名を轟かせる存在だった。