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52歳でNHK退局「妻も“そのうち辞めるだろう”と」あのスポーツ名実況アナが決断理由を明かす「ラグビーW杯で…あ、後輩も大丈夫だな」
posted2025/07/23 11:00
今年、NHKを退局した豊原謙二郎アナウンサー。これまでのキャリアと今を聞いた
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Nanae Suzuki
被災地の希望となった東北楽天ゴールデンイーグルス、史上初の大阪勢同士のセンバツ決勝、歴史を塗り替えたラグビーW杯、賛否を呼んだ東京オリンピックの幕開けとなった開会式……日本のスポーツ史に残る節目の瞬間をお茶の間に届けてきた豊原謙二郎アナウンサーがこの春、NHKを退局した。新たに会社を設立し、経営者と実況者の両立に奔走している。
入局から29年、NHKの看板を背負うところにまで上り詰めた豊原は、なぜ安泰の世界から飛び出したのか。決め手となった理由はふたつあった。
率直に語る「NHKを退局した理由」
――まず率直にお聞きしますが、NHKを退局した理由は?
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「NHKのスポーツ実況アナウンサーとして、目標としてきたことを達成できたというのがあります。これはとても幸せなことです。高校時代から愛着があったラグビーは、大学選手権や日本選手権の決勝、そしてW杯と、これ以上何を求めるんだというほどの舞台を担当させてもらいました。オリンピックではロンドン、リオ、東京と実況させていただき、2期にわたって配属された大阪局時代は甲子園で多くのチャレンジをさせてもらいました。仙台局にいた2013年は楽天を1年間追いかけ、日本シリーズで実況を任せてもらえたことは本当に感慨深い思い出です」
――豊原さんといえば、NHKの老舗スポーツ番組「サンデースポーツ」のキャスターも勤めていました。
「2020年10月から3年半ほど。スポーツ界にとって厳しいコロナ禍でしたが、ナレーターとしての仕事もあり、とても充実していました。でも、いつか交代のタイミングが来るだろうとは思っていました」
――つまり、世代交代?
「NHKのような大きな組織は、新陳代謝と言いますか、新しい血を循環していかないといけない。そうじゃないと良くないことが起こるんです。これまでの先輩たちが潔く後進に道を譲ってきたように、繋いできたものを止めるわけにはいかない、と。誰にも言われたことはありませんが、なんとなく“空気”は感じるものです」
名古屋転勤で“他にやりたいこと”がわかってしまった
――NHKで管理職、または指導する立場にもなれたと思います。

