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アイルランド撃破は奇跡ではない。
日本の信念と4年間積み重ねたもの。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2019/09/29 12:00
ノーサイドの瞬間、日本代表フィフティーンは喜びを爆発させた。
アイルランドは、ボールを持ったら前へ。
17分にスタンドオフの田村優がペナルティゴールを成功させ、日本は2点差に詰め寄る。しかし、20分に再びトライを喫する。ゴールで2点を加算され、3対12となる。
追いかける展開になっていたものの、日本の試合運びは悪くない。
アイルランドはフォワードの重量感をフル稼働し、ボールを持ったら前へというシンプルなゲームプランを遂行してくる。プロップの稲垣啓太は「シンプルゆえにそこで勢いをつけられると手強いので、どうやって止めるか。80分間止め続けることができるかどうかが、今日のディフェンスのキーポイントだった」と話す。
ロシアとの開幕戦のような固さはなく、危険なエリアでのペナルティも避けることができている。「アイルランドのことは少し分析したけど、準備のメインはオレたちのディフェンスでした」とは、ロックのトンプソン ルークである。
リーチが入り「自信が高まった」。
アクシデントをプラスに転じることもできた。ナンバー8のアマナキ・レレイ・マフィが負傷し、リーチ マイケルがピッチに立ったのだ。
リザーブに回っていたキャプテンには、後半からの出場でインパクトをもたらすタスクが課せられていた。ジョセフHCも「マフィのケガで予定より早い投入になったが、いま思えば良かった。リーチが入ったことで、チームの自信が高まった」と分析する。
リーチの出場直後に田村がペナルティゴールを決め、39分にも背番号10がペナルティゴールを成功させる。9対12で前半は終了するものの、チームとしての機能性では劣っていなかった。
後半に入った49分にも、小さなアクシデントが発生する。
フルバックの山中亮平が足を痙攣させたことで、ウイングの福岡堅樹が投入されるのだ。フルバックには松島幸太朗がスライドする。