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3番手4番手の男が一気にスタメンへ!
板倉滉が掴んだU-20W杯での居場所。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byGetty Images
posted2017/05/23 11:00
U-20W杯の南ア戦での板倉。186cmの身長は、代表のボランチとして貴重な武器となっている。
「ヘッドは、自分の中では絶対に負けられないもの」
代表メンバー発表の時点で、ボランチでの序列を覆す最後のチャンスは、5月15日のU-20ホンジュラス代表との親善試合のみだった。
この試合、「レギュラー組」を意味する“1本目”に出たのは、ボランチは原と坂井、CBは中山と冨安だった。MFの三好は当然のように1本目として出場していた。
板倉の出番は後半の途中、ボランチとしてだった。
市丸とコンビを組むこととなった彼は、出場直後に得意のヘッドによる得点で結果を残す。左CKからニアに走り込んで、強烈ヘッドを叩き込んだのだ。
「ヘッドは、自分の中では絶対に負けられないものですから」
186cmの身長と、滞空時間の長い跳躍、類まれな背筋の強さを誇り、ボールをしっかりと頭で捉えることができる技術に長けたそのストロングポイントが、ファーストプレーで出せたのだ。90分の試合の後に行われた特別形式の30分の試合ではCBとしてもプレーし、その存在価値を存分にアピールできた。
「(U-20日本代表の)ドイツ遠征、アルゼンチン遠征ではボランチは1回もやっていないけど、自分の中ではどちらでも対応できる自信は常に持っていた。どんな状況であれ、使ってもらえるところで使われたいと思っているので、今日はそれを出せたと思います」
充実の表情は韓国の地でも変わらなかった。
ついに三好と並んでスタメン出場を果たした!
日本の初戦となる南アフリカ戦の前々日の練習でボランチでスタメン出場の可能性が浮上し、前日にはほぼ確定となった。
迎えた南アフリカ戦。彼は堂々とボランチでスタメン出場を果たす。
ついに彼はこの代表で、三好と肩を並べてピッチに立ったのである。
試合の立ち上がりから彼は積極的にボールを受けては、縦パスを打ち込んだ。23分にはDF初瀬亮(G大阪)の横パスを受けると、右アウトサイドでカット気味のループパスをDFラインの裏に抜け出したFW小川航基(磐田)の足下にピタリと落とした。これは小川のトラップミスでチャンスにはならなかったが、南アフリカDF陣をひやりとさせる非常に効果的なパスだった。31分には左FKから惜しいダイビングヘッドを放つなど、攻撃面でも存在感を放った。