“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
3番手4番手の男が一気にスタメンへ!
板倉滉が掴んだU-20W杯での居場所。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byGetty Images
posted2017/05/23 11:00
U-20W杯の南ア戦での板倉。186cmの身長は、代表のボランチとして貴重な武器となっている。
自らの課題を語る板倉からは、自信が溢れていた。
守備面ではプレスバックが遅れたり、プレスをかわされたりするなど、バタつく面も見られたが、後半に入ると徐々に落ち着きを取り戻す。61分には鋭い出足から高い位置でボールを奪い取ると、素早く小川に繋いでチャンスを演出。86分には左FKからドンピシャのタイミングでヘッドを放つが、これはGKに阻まれた。
後半アディショナルタイム2分に足がつって原と交代となったが、ほぼフルタイムを戦い切り、2-1の勝利を掴みとった。
「後ろのCB2枚をサポートするプレスバックのスピードをもっと上げて行かないといけないと思っています。後半、追いついてから南アフリカが積極的に前に出てきて、ボールを保持できる時間は減りましたけど、そこで意識していたのがCBと自分のところの3枚で固めてしっかり守ること。
本当は前からプレスに行ったりして連動したかったのですが、相手の迫力もあり、我慢をするしか無かった。それにミスがまだ多い。潰すべきところできちんと潰すプレーをしたいと思います」
自己評価は厳しかった。だが、重要な世界の舞台で自らの序列を覆し、それに見合ったプレーを見せたのは間違いなかった。
「これからも今日みたいに粘り強く戦うことが大事だと思います。それに、自分達が我慢する時間帯はどの試合でも必ずある。相手側のペースのときに、いかに全員で粘りきることができるかが大事だと思います」
その力強い言葉は、もはや3、4番手の選手のそれではなかった。
自らの力で這い上がってきた自信を手にした彼は、川崎でも陽の当たる存在になることを心に誓いながら、U-20W杯を自身のサッカー人生の大きなターニングポイントにしようとしている。