ボランチでこそ輝ける……その希望と厳しい現実。

　川崎でボランチとしてプレーし、年代別代表ではCBとしてプレー。

　今年に入っても立ち位置に変わりはなかったが、虎視眈々とその序列が代わるチャンスを待ち続けた。そしてU-20日本代表メンバー入りも果たし、迎えた静岡での直前合宿。

「この合宿からが本当の勝負時だと思っていますし、どんどん食い込んでいきたい」

　ジュビロ磐田との練習試合で、彼は“2本目（控え組）”のCBとしてプレーをした。今回のメンバーで町田が落選し、代わりに湘南で不動のレギュラーを掴み、成長著しい杉岡大暉（湘南）が入ったため、彼のCBの3番手争いは杉岡と行われることになった。

　だが磐田戦後、彼の口から聞かれたのは、意外な答えだった。

「今回選ばれたCBの4人は、ほぼ全員、CBとボランチの両方がこなせます。板倉選手自身はCBとボランチ、どちらがベストと考えていますか？」と質問をすると、彼はためらうこと無くこう答えた。

「どちらがやりたいかと聞かれたら、僕は『ボランチ』と答えます。後ろに人（CB）がいる安心感で、自分の持ち味である前への強さを出せますし、『守備と攻撃のどちらが好き？』と聞かれたら攻撃なので」

　ボランチでこそ、自分は輝ける――そう主張した彼だったが、現実は厳しかった。CBでは3番手争いだったが、ボランチに目を向けると、彼の序列はもっと低いように思えたからだ。

3番目のCBから、4番目のボランチへ!?

　AFC U-19選手権以降、ボランチの中核と目されていたのは、原輝綺（新潟）と坂井大将（大分）で、ここに市丸瑞希（G大阪）、神谷優太（湘南）が続くという図式だった。

　そして、神谷が最終メンバーから落ちたことで、「4番手のボランチ」の座が空いたため、そこに候補として入ったのが、冨安と板倉だったのである。

「板倉、冨安が所属チームでボランチをしている。ボランチには高さも必要で、彼らをボランチとして考えている」

　代表メンバー発表の際、内山篤監督がこう言及したように、板倉が希望するボランチのチャンスが巡ってきてはいた。しかし、それでも彼の序列が「4、5番手のボランチ」という位置づけに変わりは無かった。

　第3～4番目のCBか、第4～5番目のボランチか――。

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