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“活字野球”で味わう日本Sとドラフト。
プチ鹿島10月のスポーツ新聞時評。 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2016/11/01 11:30

“活字野球”で味わう日本Sとドラフト。プチ鹿島10月のスポーツ新聞時評。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

死球を受けて激昂する日本ハムの岡と、彼をなだめようと必死の広島・石原。

「活字野球」に不向きな大谷翔平という存在。

 一方、「活字野球」に不向きなのが日ハムの大谷翔平ではないか? と常々私は思っている。大谷にはどんな言葉も合わないからだ。

 たとえば次の見出しを見てほしい。

「男気 黒田が魅せた」

「怪物 大谷が決めた」

 第3戦を伝えた朝日新聞の見出し(10月26日)だが、大谷翔平を「怪物」と呼ぶのはなんだかピンとこない。大谷は超アスリートという「だけ」であって、化け物的な修飾は似合わない。大仰な表現とは相性が悪いと思うのだ。

 そう考えると「男気 黒田」は従来からの野球報道にピタリと当てはまるヒーローであった。

 浪花節も似合うスポーツ新聞のヒーロー。

 黒田は引退し、大谷は進化する。スポーツ新聞を読むうえでも歴史的な日本シリーズであったのだと思う。

ドラフト当日の紙面は、各紙の取材力の発表会だ!

 さて、10月はもう1つ大きなイベントがあった。ドラフト会議である。スポーツ新聞の魅力が発揮される大イベント。

 どの球団が誰を指名するかという記事や見出しは1年を通じて楽しめるし、ドラフト当日は各紙の取材力の発表会だ。

 昨年は千葉ロッテの動向が最大の謎だった。各紙のロッテ1位指名予想がバラバラ。そんななかスポニチが見事に平沢大河(仙台育英)指名を「当てた」のである。

 今年の最大の注目は田中正義(創価大)。当日のスポーツ新聞の予想&特徴をまとめてみる。

 スポーツニッポン「田中正義は7球団。今井達也(作新学院)は中日と西武の一騎討ち」

 日刊スポーツ 「正義6球団。寺島成輝(履正社)は横浜DeNA一本釣り」

 サンケイスポーツ「正義5球団。DeNA1位は寺島成輝」

 スポーツ報知 「正義8球団。巨人のハズレ1位は藤平尚真(横浜)」

 デイリースポーツ「正義7球団。ハズレ1位に黒木(立正大)5球団」

 東京中日「正義8球団。中日は今井達也指名濃厚」

 田中正義の指名予想は最大で8球団、最小で5球団だった。この場合の「数」の当たり外れは軽視したい。なぜならドラフト会議に臨む球団の人たちにとっても、当日朝に掲載されるスポーツ紙予想は影響があり、1位指名を変更する可能性もあるからだ。

【次ページ】 ドラフトの情報戦の“痕跡”を確認したい。

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