ロッテはチーム作りに大きなプラスの変化が。

　ロッテはドラフト前、一部のスポーツ新聞が「岡本和真の1位入札」を報じていた。え？　と首をひねったのはロッテが統一ドラフトになった'08年以降、高校生の指名をピタリと途絶えさせてしまっていたからだ。それが高校生の野手を1位で入札するなんて「無理、無理」と相当な悪意でもって私は否定した。

　結果、岡本の入札こそなかったが、1回目の入札で中村奨吾（早大・二塁手）を指名。高校生野手の1位指名同様、大学生や社会人でも野手の1位指名は多くない。それをロッテは敢行した。さらに2位田中英祐（京大・投手）、3位岩下大輝（星稜・投手）、4位寺嶋寛大（創価大・捕手）、5位香月一也（大阪桐蔭・三塁手）、6位宮崎敦次（広島国際学院大・投手）、7位脇本直人（健大高崎・外野手）と冒険心いっぱいの指名を展開。とくに注目したのが、高校生を指名することが稀な球団なのに、岩下、香月、脇本と3人も指名しているところ。チーム作りに臨む姿勢に大きな変化が起こっていると言っていい。

巨人、西武は1位指名の大物に期待。

　全体の指名では日本ハム、楽天、阪神、ソフトバンク、ロッテに及ばないが、1位指名選手の活躍が期待されるのが西武と巨人だ。

　西武の1位は、昨年夏の甲子園優勝投手・高橋光成（前橋育英）。投球フォームに悪い部分がなく、ストレートの速さは最速149kmと超高校級。スライダー、フォークボールのキレ味も素晴らしく、さらに目をみはるのが指先にまで神経が行き届いていた腕の振りのしなやかさ。これは現在フロントで力をふるっている渡辺久信元監督の現役時代を彷彿とさせる。

　最近では高校卒の早い抜擢も目立つが、基本的には3、4年の猶予で成長を見守るというのがセオリー。しかし、その常識を破る可能性が高橋にはある。早ければ1年目の夏以降、遅くても2年目の夏以降には一軍定着を果たしていると思う。

　巨人1位の岡本は、'08年1位大田泰示のここにきての本格化が指名の後押しになった。大田が一軍の戦力になっていなければ「高校生の野手を1位で指名するのは怖い」という恐怖感がつきまとったと思う。大田は岡本1位指名の生みの親と言ってもいい。岡本が入団すれば球界のトレンドになりつつある「右の大砲」が2門揃う可能性がある。5年先を睨む姿勢は、さすが3連覇中のチームだと感心させられた。

　2位以下では西武が2位で佐野泰雄（平成国際大）を指名。先発の左腕不足解消に手を打ったという印象だ。巨人は大学生の左腕を2人、社会人の本格派を1人指名、その狙いはリリーフ陣の充実にあると見た。

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