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日本シリーズに必要な“継投力”。
阪神の「呉昇桓の前」はつながるか。
posted2014/10/24 16:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
NIKKAN SPORTS
メジャーリーグのポストシーズンは、ロイヤルズ旋風が吹き荒れている。
ア・リーグ中地区の2位からワンデープレイオフを勝ち上がったカンザスシティー・ロイヤルズにとって、ポストシーズン進出は29年ぶりの快挙だった。
そのダークホースが地区シリーズで、まずはレギュラーシーズン最高勝率を誇ったロサンゼルス・エンゼルスを3連勝で下してスイープ。さらにリーグ優勝シリーズでもシーズン211本塁打と圧倒的な打力でア・リーグ東地区を制したボルチモア・オリオールズを、これまたスイープの4連勝で下し、一気にワールドシリーズへと名乗りを上げた。
そして現在はナ・リーグの覇者、サンフランシスコ・ジャイアンツとのワイルドカード対決を戦っている真っ最中。22日(日本時間23日)の第2戦を7-2で圧勝して、対戦成績を1勝1敗のタイに持ち込んでいる。
ロイヤルズを支える、3人の160km投手。
「ウチはガンガンホームランを打って得点して行くチームではない」
ネッド・ヨスト監督が語るように、今年のロイヤルズの特長は、青木宣親外野手を含めて、鋭い打球で野手の間を抜き、機動力を使って挙げた得点を、継投で守り抜くのが基本パターン。その野球を支えているのが、中継ぎのケルヴィン・ヘレラ、ウェイド・デービスにクローザーのグレッグ・ホランドという3人の強力リリーフ陣なのである。
この3投手はいずれもストレートが100マイル(160km)超のパワーピッチャー。ロイヤルズはポストシーズンで、ほぼ全試合にこの3人を投入して終盤の接戦を制して勝ち上がってきた。22日の第2戦でも、同点の6回途中で先発のヨーダノ・ベンチュラ投手から継投にスイッチしてピンチを切り抜けると、直後に5得点して試合を決めている。
終盤の継投を制することが、どれだけ優位に試合を進めることにつながるのか。ロイヤルズの躍進は、短期決戦のこの鉄則を改めて示したわけである。