クロップ監督の言葉に探るドルトムント好調の秘密。

　ドルトムントにとっては、望外ともいえる後半最初の10分間での2ゴール。それらが生まれた要因を明確に解明するのは容易ではない。

　レアルの後半の入り方が良くなかったことや、同点ゴールを決められてもあきらめない選手の存在も要因の一つだろうが、もう一つ、とある要因を挙げられるのではないか。そのヒントが、クロップ監督の言葉に隠されている。

　試合が終わってから1時間15分あまり経った頃――。コーヒーにスティックシュガーを1本溶かしたクロップ監督は、記者会見の冒頭でこう切り出した。

「ファンのみなさんにお礼を言わないといけないね。あんな“ネガティブな感情”を結果に結びつけるのは決して当然のことではないんだ。特に後半、あの雰囲気がなければあんな展開を導くのは不可能だったと思うね」

“裏切り者”ゲッツェへのブーイングが心配されたが……。

　この試合の前日、今シーズン終了後にゲッツェが、宿敵バイエルンへと移籍することが明らかになっていた。ファンからすれば、ゲッツェは裏切り者と呼べる（もっとも、試合後にはロイス、キャプテンのケール、そしてバイデンフェラーがゲッツェを抱きしめ、ロイスはピッチを去るまでゲッツェと並んで歩くなど、チームメイトは選手として、ゲッツェの決断を尊重しているように映ったが……）。

　そんなゲッツェに対して、ファンが強烈なブーイングを浴びせかけるのではないかと心配されたが、この日のスタジアムでブーイングを浴びたのは白いユニフォームを着た選手たちだ。最も大きなブーイングはロナウドに浴びせられており、ゲッツェに対するブーイングはほとんどなかった。

「選手たちには、『マリオ（・ゲッツェ）がバイエルンに移籍することは忘れて、試合に集中するように！』と伝えたんだ。みんなの反応は、今日のプレーから見て取れたよね。ファンの反応も好意的なものでうれしかったね。マリオもファンも、目の前のサッカーに集中できると証明したんだよ」

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