ドルトムント有利の流れが一変した前半42分。

　25分を過ぎた頃から、レアルの選手たちもようやくドルトムントのやり方に対応し、自分たちのやるべきサッカーを取り戻しつつあったものの、1－0のまま前半は終わりそうな気配が漂っていた。

　しかし42分に、その流れは一転する。

　ロイスがレアルのペナルティエリアに侵入。バランに倒されたが、笛は鳴らず、スタンドから一斉にブーイングが降り注ぐ。その直後、レアルボールのスローインになると、ドルトムントの選手たちは審判に抗議する。彼らは明らかに興奮していた。

　ほどなくしてレアルのスローインが始まった。セルヒオ・ラモスのスローしたボールをケディラが頭でモドリッチに送る。モドリッチが単純に裏へ出したボールを、センターバックのフンメルスが追いかけていく。しかし、フンメルスからキーパーへのバックパスがミスキックとなる。これをイグアインに拾われ、そこからの折り返しをロナウドに決められてしまった。これで1－1の同点だ。

　ドルトムントからすれば1－0でリードしており、前半の終了間際だ。前線の選手にチェックにいかせて、他の守備的選手たちは自陣に引いても良い場面だったかもしれない。だが、ドルトムント守備陣はこのとき、高い位置でプレスをかけに行った結果、その裏のスペースを突かれた形になった。これが一つ目の判断のミス。

　そして、致命的だったのがフンメルスのキックミスだった。

同点に追い付かれてもチームを鼓舞した2人の選手。

　3月9日のシャルケとのレヴィアーダービーで負傷したDFリーダーが、スタメンに復帰したのは4月13日のこと。この試合はスタメン復帰の3試合目で、もう1人のセンターバックであるスボティッチとスタメンでコンビを組むのはこれが2試合目だった。この試合でパスミス、判断ミスを何度も犯したフンメルスは、まだ本調子ではなかった。試合後には「僕を除いて、この日のチームは素晴らしいパフォーマンスを見せていたね……」と自戒の弁を残している。

　失点直後、ドルトムントの選手たちの多くが肩を落とす中、シュメルツァーとレバンドフスキの2人だけは何度も手をたたき、チームを鼓舞しようとしていた。そして、1－1でハーフタイムを迎えることになった。

　40分過ぎまで、ほぼ完璧に遂行されていたドルトムントのプランが、一瞬にして振り出しに戻ってしまった。いや、アウェイゴールを与えてしまったという意味では、むしろマイナスに陥ったと言ってもいいかもしれない。

　しかし――。

　実は、レアル側も1－1に追いついたとはいえ、良いムードとは程遠かった。

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