2強のバルサ＆レアルをビジャレアルとセビージャが追う。

横井　確かに。ただ、いずれにしても今季のリーガはレアルとバルサの2強体制がより一層浮き彫りになると思います。第2勢力の中ではプレシーズンで素晴らしい内容を見せたビジャレアルと、戦力面で充実しているセビージャが対抗馬。ただし、両チームともチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグとの掛け持ちをいかにして乗り切るかがカギになる。2トップの決定力に依存するアトレティコ・マドリーは厳しいでしょうね。主力の放出を回避したバレンシアには、もしかしたらチャンスがあるかもしれません。

故障がちのデラペーニャを上回る活躍を見せつけてほしい中村俊輔。レッジーナで3年、セルティックでの4年を経てのリーガ・デビューだ

原田　エスパニョールに加入した中村俊輔についてはどう見ていますか？

横井　僕は正直、厳しいと思います。クラブとしてはイバン・デラペーニャを放出する前提で獲得したはずなんですが、彼が残っただけでなく、デポルティボから同じく司令塔タイプのベルドゥを獲得している。昨季のパフォーマンスを考慮すれば、ベルドゥは間違いなく即戦力だと思います。おまけに地元出身。ただ、デラペーニャがケガで離脱することはほぼ間違いないので（笑）、中村にもチャンスは必ず巡ってくる。中村のポテンシャルは十分。でもやっぱり、あと2、3年早くスペインに来てほしかったですね。

　「2強」の動向が最大の争点となるリーガ・エスパニョーラに対し、プレミアリーグはマンチェスターCの台頭による「4強の崩壊」が叫ばれている。主力選手の放出を強いられたマンチェスターＵ、リバプール、アーセナルは総じて戦力ダウン。チェルシーは昨季までミランを率いたカルロ・アンチェロッティを新指揮官に迎え、変革の時を迎えた。そして、今夏の移籍市場でレアル・マドリーに次ぐ総額約190億円の大型補強を敢行し、不気味な存在感を醸し出すマンチェスターCの実力やいかに。

原田　3連覇中の絶対王者、マンチェスターＵは第2節でいきなり黒星を喫しましたが、彼らのスロースターターぶりは例年どおり。クリスティアーノ・ロナウドとカルロス・テベスを放出した穴は確かに大きいですが、やはりクラブとしての安定感では群を抜いていると思います。

　ただ、マンチェスターＵにとっては、ここ3年が過渡期。つまり、ポール・スコールズやライアン・ギグスが現役を退くまでの期間ですね。国内リーグはまだしも、チャンピオンズリーグではまだ彼らに頼っている部分が大きい。マイケル・キャリックやダレン・フレッチャーが彼らの後釜を担うような存在になれるのか。そういう意味で、今季は大きな転換期の1年目になると思います。

横井　そうですね。そこは常に長期的なプランニングを頭に入れているアレックス・ファーガソン監督のことですから、どういうチームを作るのか非常に楽しみですね。主な補強はアントニオ・バレンシアとマイケル・オーウェン。国内でキャリアを積んでいる選手に絞ったわけですが、これにも確固たる根拠があるはず。ひねくれた見方をすると「計画的で面白みに欠ける」とも言えそうですが（笑）、やはりマンチェスターＵが優勝候補の筆頭であることは間違いない。

原田　今季に関してはマンチェスターＵにチェルシーとリバプールを加えた3チームが優勝候補。エマニュエル・アデバヨールとコロ・トゥーレを放出したアーセナルは開幕直後こそ好調ですが、最終的に優勝争いを演じるのは難しいかもしれません。昨季もそうでしたが、格下相手に大量得点を奪う攻撃力はあっても、マンチェスターＵやリバプール、チェルシーを相手にするとどうしても勝ち切れないし、下位相手の取りこぼしが多いのも痛い。今季はそれをいかに打開できるかでしょう。

横井　バルセロナについてアフリカ選手権による主力の離脱が懸念材料という話題が挙がりましたが、アーセナルからマンチェスターCに移籍したアデバヨールとK・トゥレは、もちろんこの大会に参加しますよね。それってまさか……。

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