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「鎌田、嫌われているのでは」かつては英国ファン不満露わも…鎌田大地「少なからず学べている」ゴールでもアシストでもないプレミア適応の核心

posted2025/12/20 17:01

 
「鎌田、嫌われているのでは」かつては英国ファン不満露わも…鎌田大地「少なからず学べている」ゴールでもアシストでもないプレミア適応の核心<Number Web> photograph by Ryan Pierse/Getty Images

痛い負傷離脱となった鎌田大地だが、1年間でロンドン南東部クリスタル・パレスでの評価を高めた

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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Ryan Pierse/Getty Images

クリスタル・パレスの日本代表MF鎌田大地はマンチェスター・シティ戦でハムストリングの肉離れを負ったものの、クラブ内外の信頼を得る2025年を過ごした。現地ロンドン在住記者が見聞きした、プレミア適応の核心とは。〈全2回〉

 ハムストリングスに全治8~10週間の重傷を負ってしまったとはいえ――2025年の鎌田大地を例えるとすれば、クリスタル・パレス(以下、パレス)の「旨味」だろうか。

 この日本語は、世界的にはいわゆる「四基本味」しか知られていなかった当時に生まれた。今では〈umami〉という言葉が『オックスフォード英語辞典』などにも収録されており、英国の料理好きにも理解されている。

移籍当初は“年俸約11億円”の評価が災いしたか

 2025年の初戦が終わった時、鎌田は、しばし両手を腰に当てて佇んでいた。

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 1-1のドローに終わったホームでのチェルシー戦。パレスは、結果重視の戦い方で勝ち点1を得ても、15位に落ちていた。前シーズン途中からのオリバー・グラスナー体制下で、強まると思われた攻撃色にバリエーションとクオリティを加えると期待された日本人MFは、受け身を「良し」とするようになったチームで、交代要員の域を出ていなかった。

 ただし、鎌田は頭を垂れていたわけではない。その目は、眼前にあるプレミアでの現実と、その先にある2026年W杯に向けられていた。

「自分は、この間(22年)の大会が終わってから、ワールドカップというのを一番に考えてやってきている。そこで良いパフォーマンスができるように、チームでしっかり良いプレーをしないといけない。難しい環境の中でも成長できると思うので、少しでも良い選手になって臨めるようにやっていけたらいい」

 そう語っていた当人は、中盤センターに投入されると、精力的に広範囲をカバーしていた。

 だがそれは、ファンが思い描く鎌田像ではなかった。移籍金が発生しなかった代わりに、チーム最高との説が一般的だった年俸(日本円にして推定11億円強)も災いしたのかもしれない。単に評価が低いどころか、嫌われているとさえ思えた。

横パスに苛立ちの声が上がった日

 ホーム観衆の不満を耳にしたのは、2月半ばのエバートン戦である。1-2と1点ビハインドの終了間際に投入され、試合後に鎌田自身も「残り数分で出て(独力で)何かできるタイプでもない」と認めていたのだが……。

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