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「えっ、スカウト30人!?」じつは12球団が熱心だった投手とは?「鷺宮製作所・竹丸和幸はドラ1濃厚だが」運命のドラフト会議“情報戦”最終段階
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西尾典文Norifumi Nishio
photograph bySankei Shimbun
posted2025/10/17 17:01
都市対抗のマウンドで力投する鷺宮製作所・竹丸和幸。来年2月で24歳、ドラフト上位指名が確実視されている
竹丸のように上位候補と報じられていない選手でも、現場の視察状況から高い熱を感じた選手がいる。同じ社会人左腕、エイジェックの谷内隆悟だ。
谷内も鳥羽高時代は無名で、同志社大でもリーグ戦でわずか2試合の登板に終わっている。素材の良さが評価されて入社したエイジェックでも昨年までの2年間は故障もあって公式戦では結果を残すことができていない。ようやくドラフト戦線に浮上してきたのは3年目の今シーズンからである。
3月に行われた東京六大学と社会人の交流戦、対慶応大戦で2回をパーフェクト、4奪三振という見事な投球を見せると、その後のオープン戦でも好投を続け、徐々にスカウト陣の間からその名前を聞くようになったのだ。
都市対抗予選では12球団30人のスカウトが
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そして、注目度の高さがうかがえたのが7月1日に行われた都市対抗野球北関東予選の対日本製鉄鹿島戦だった。この日のスタンドにはNPB全12球団、約30人のスカウトが集結。竹丸の時とは異なり、担当スカウトのみという球団もあったが、それでもこれだけのスカウトが揃うのは並大抵のことではない。
ただ残念だったのは、この試合で谷内は立ち上がりから明らかに本調子ではなく、1回2/3を投げて4失点で早々に降板となってしまったことだ。
谷内が降板すると、ほとんどのスカウトは球場を後にしていた。結局、所属するエイジェックは都市対抗本戦の出場を逃し、谷内はSUBARUの補強選手として本戦に出場したものの、1イニングのみの登板に終わっている。この内容だけでは十分なアピールをできたとは言い難く、年齢もあって指名の対象から外した球団もあるのではないだろうか。
ただ、谷内に対するNPB球団の“熱”は秋になっても残っていたことは確かだ。それを感じたのは9月に入ってから行われたオープン戦の時である。その日は東都大学野球1部の秋季リーグ戦の第1節が行われており、上位候補が多く出場することもあって多くのスカウトはそちらに集結していたが、ある1球団だけが3人体制で谷内の視察に訪れていたのだ。
対戦チームにもドラフト対象となる選手はいたが、雰囲気的にも谷内のチェックに訪れている様子が伝わってきた。このように多くの球団のスカウトがいなくても、逆に1球団だけが熱心に来ている時は評価しているケースが多い。しかしだからといって確実に谷内が指名されるというわけではなく、当然他の選手との兼ね合いによって見送られることも往々にしてあり得るのがドラフトである。
スカウト活動1年の総決算として各球団がどんな決断を下すのか。運命の日はもうすぐだ。〈前編から続く〉


