テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「オオタニは偉大な才能だけど…」“元二刀流の161キロ”の闘志をドジャース大谷翔平は打ち砕いた「しっかりと良いスイング」珍しく自賛した日
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byNicole Vasquez/Getty Images
posted2025/10/08 11:02
始まったドジャースと大谷翔平のポストシーズン。テレビに映らない舞台裏はどうなっているか
試合開始から8分。大谷はこの一振りに集中していた。初回、2ボール1ストライクからの4球目。剛腕グリーンの内角直球を完璧に捉えた。打球角度は21度。超低空の一打に全力疾走で駆け出した。
打球速度117.7マイル(約189.4キロ)の弾丸ライナーはあっという間に右翼フェンスを越えた。自身初めてWS制覇を経験した昨年に続くPS初戦本塁打。しかもはじき返した100.4マイル(約161.6キロ)は、メジャー8年目で最も速い球を打った本塁打になった。
試合後会見で大谷は珍しく自賛した
3回にテオスカー・ヘルナンデス、トミー・エドマンの2者連続弾など、5回までに4発で6-0とした。そして6回2死一塁、大谷は右腕コナー・フィリップスから右中間へ特大の2ランを放った。
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今季自己最長に並ぶ打球飛距離454フィート(約138.4メートル)のダメ押し弾。04年のア・リーグ優勝決定シリーズでの松井秀喜(ヤンキース)以来、21年ぶり日本選手2人目のPS1試合2発となった。PS1試合5発は球団3度目の最多タイ。ベンチでは、同じく2発となったテオスカー・ヘルナンデスに力こぶをつくってみせた。
試合後の会見場にはもちろん大谷が現れた。
「1本目は100マイルのインコースをなかなか狙っているからといって、打てる球ではない。2本目に関しては甘かったですけどランナーがいる場面でいい追加点なってるので、どちらも良さがある」
3年連続本塁打王は逃したが、今季は自己最多&球団新の55本塁打をマークし、レギュラーシーズン終盤からこれで15戦9発。「(1本目は)難しいコースだったけど、しっかりと良いスイングができて最高の形でスタートできた」と珍しく自賛した。
本塁打の後にあった“気になる光景”
勢いのまま15安打10得点の打線をけん引。勝利のハイタッチに加わった後は、マウンドでシャドーピッチングを行って、1勝1敗になれば10月2日の第3戦、2連勝突破なら4日のフィリーズとの地区シリーズ初戦となる先発に向けイメージを膨らませていた。
実は大谷が2本の本塁打を打った後に気になる光景があった。〈つづく〉

