ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
現役時代は中田英寿・森保一と同僚…日本人指導者が見た“マンCグループ”の舞台ウラ「全員、五つ星ホテルに」インドでビックリした話
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byJ.LEAGUE
posted2025/09/28 11:25
サンフレッチェ広島時代の宮澤浩
「凄く整理されているいいシステムだと思います。でも今、プレミアリーグでは、それぞれのクラブが独自のスカウトシステムを持っています。クラブのビジョンやスタイルに合わせた選手の評価方法を、それぞれが確立している」
――シティのサッカー自体についてはどうでしたか。
「順序立ててチームを作っていくためにこういう練習をやるのを、1年かけて学びました。それでうまくいかなかったとき、相手が対応してきたときのオプションがあって、それをやっていく感じでした」
ADVERTISEMENT
――シティの方法論を落とし込む際に、文化や社会の違いからくる齟齬はありませんでしたか。
「そこはもう完全にシティで、言うことを聞けという感じでした(笑)。ただ、地元スタッフのクオリティは高かった。メディカルチームにはドクターがフルタイムでいて、僕がビックリするぐらいしっかりしていました。ちゃんと研修を受けているので、怪我人のコンディショニングでも、この程度ならこれぐらいの期間で戻せるというのを勉強していました。またアナリストのチームもレベルが高かった。
あれだけの人口の中で、彼らにとってはプレミアジョブであるわけです。それこそキッドマンやグラウンドキーパーひとつとっても、ヒエラルキーを抜けてきた人たちがポジションを勝ち取っている。GKコーチはイングランド人でしたが、その彼も言っていました。インド人スタッフのクオリティが素晴らしいと」
現地スタッフの実力と“インド的豪華環境”
――それは他のクラブも同じぐらい高いのですか。それともムンバイだけ特別ですか。
「ムンバイだけちょっと抜けていた。人件費はたぶん安いんです。それでスタッフの数が凄く多い。選手と合わせて総勢60~70人になるのですが、全員が五つ星ホテルにシーズンを通して泊まる。それだけで何億円使っているのだというぐらいで、そんな環境はイングランドでも経験がないと、GKコーチは言っていました」
シティメソッドの核心はどこにあるのか。何がJリーグのクラブのコンセプトと異なっているのか。そして彼らが重きを置くプラットフォームとは……。〈つづく〉

