「ヒデ（中田英寿）はそれが彼の生き方」「サンフレッチェは整っていました」“金満だけでない”マンC式に触れた日本人にJはどう見えるか

　かつてJリーガーとしてプレーしたのち、海外をベースに指導生活を送り、現在はサウジアラビアのクラブ（アルホロード）に在籍する宮澤浩インタビューの第2回（全3回。第3回につづく）である。

　その指導歴の中ではインドのムンバイシティという「シティグループ」の一員として、マンチェスター・シティのメソッドに触れた貴重な日本人の1人である。その実体験やリアルを聞いた。

勝っても淡々――シティ流の“無敗メンタリティ”

――シティメソッドの具体的な実践はどのようにされていたのでしょうか。

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「例えば週末の試合に勝つには、どういう準備をすべきかという問いに対して、僕たちはいろいろな面から考える。次の段階は、チャンピオンになるにはどんな要素が必要かが問われる。さらにその先があって、世界には星の数ほどリーグがあるけれども毎年勝つクラブは限られている。では毎年チャンピオンになるにはどうしたらいいのか。それぞれが全然違う回答になります。シティとは、そういうことを追求しているクラブであり、そこまで考えている組織という気がします」

©Shuichi Tamura

――宮澤さんを含めたムンバイシティのスタッフもその3つを……。

「メンタリティを叩き込まれて、日々活動していく。ひとつチャンピオンの要素をあげるなら、勝ち負けに一喜一憂しないというのがありました。14試合無敗のときでも、ロッカールームは結構淡々としているんです。僕もその場にいながら、こういうことなのかなと思いました。勝っているのに、パフォーマンスが悪かったことに対して誰も満足していない。外国人選手たちも『プレスをサボっていたな』と試合後に言いあっている集団でした」

ヘッドコーチの役割は「空気を整えること」

――ヘッドコーチとしての役割はどうでしたか。

「僕たちがやっていたのは、会話とか雰囲気の土台作りでした。監督や僕がいて、もうひとりインド人の優秀なアシスタントコーチと、GKコーチがいた。トップチームはGKを含めて27、28人でしたが、インド人のコーチは主に若手を見て、僕は外国人を中心に何人かのインド人選手を見ていました。

　IDP（＝Individual  Development Programme. 個別成長プログラムの意）というのですが、個別の映像を作成して10分ぐらいの面談を週に2～3回、主に昼食の後にやっていました。同じホテルにずっと一緒に住んでいるので（笑）できるのですが、シティのポリシーとして環境――選手がいかにハッピーな状態でいられるか。ハッピーではない状態の原因を抽出して、クラブ全体でどう取り除いていくのかに取り組みました。

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