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現役時代は中田英寿・森保一と同僚…日本人指導者が見た“マンCグループ”の舞台ウラ「全員、五つ星ホテルに」インドでビックリした話
posted2025/09/28 11:25
サンフレッチェ広島時代の宮澤浩
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph by
J.LEAGUE
宮澤浩というサッカー指導者がいる。現在はサウジアラビアのアルホロードでヘッドコーチを務める宮澤は、Jリーグ(ジェフ市原とベルマーレ平塚、サンフレッチェ広島)で8年間プレーした後に、ニュージーランド(以下NZ)のフットボール・キングスFCで現役を終えた。キャリアの中では中田英寿や森保一らとの接点もあったが――引退以来、ほぼ一貫して海外で指導者活動を続ける異色の経歴の持ち主である。
この間、2021~23年には、マンチェスター・シティを擁するシティフットボールグループのムンバイシティFC(インド)でコーチとして働いた。シティグループとは提携関係にある横浜F・マリノスとは異なり、ムンバイFCは完全にグループ傘下のクラブである。宮澤は、100%シティメソッドの薫陶を受けた、恐らくは日本でただひとりの指導者でもある。
世に名高いシティメソッドとは、具体的にどんなものであり、どのように現場でそれを実践しているのか。また日本人が日本人として、海外で指導者活動を続けることの意味は何であるのか。
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ムンバイから戻りサウジアラビアに発つ前、神奈川大学のヘッドコーチとして、大学生の指導をしていた宮澤から話を聴いた〈全3回の1回目/第2回につづく〉。
シティのスカウトがNZ代表に注目
――宮澤さんは2003年にNZで現役を引退された後、20年近くオーストラリアとNZで指導者として活動されています。その後はシティフットボールグループに招聘されてムンバイシティFCへ行かれました。シティグループからはどう声がかかったのですか。
「NZでは最後の数年間、代表チームに関わっていました。U20とU23代表のヘッドコーチで、A代表のアシスタントコーチも兼任していました。
2019年にU-20W杯でポーランドに行ったときに、NZが結構面白いサッカーをしていたんです。ダルウィン・ヌネスのウルグアイには負けましたが、初戦でホンジュラスを5対0で破り、アーリング・ハーランドがいたノルウェーにも2対0で勝ってベスト16に進み、コロンビアにPK戦で負けました。それをシティのスカウトが見ていて、僕らコーチングスタッフ全員が引き抜かれたんです。アナリスト、フィジカルコーチ、ヘッドコーチ、監督の4人で、ムンバイに行ってくれと」
――具体的にどういう仕事をされたのですか。

