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寺地隆成19歳「もう一回見せてください」オリックス・若月健矢に頭を下げてブロッキング特訓…“ロッテのホープ”が球宴で貫いた貪欲な学びの姿
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梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/26 17:00
オールスター第2戦ではタイムリーツーベースを放った寺地
今井の剛球、九里のナックルも体感
まさに夢の舞台。今まで味わったことがないような充実した2日間だった。第2戦では先発マスクを被り、日本を代表する剛腕であるライオンズの今井達也投手のボールを受けた。「皆さん、本当に凄いボールが強かったし速かった」とミットの手ごたえを感じた。今井に関しては対戦経験もなかったため、ボールの軌道をイメージすることも難しく不安だったが、優しくリードしてくれた。3番手で登板をしたバファローズの九里亜蓮投手はナックルボールを披露。「屋外の球場。結構、風が吹いていたけど無回転。ビックリした」と思い返し、笑顔を見せた。
「最初は緊張していたけど、どんどん話しかけていただいた。充実した2日間でした」
学びばかりの時間になった。
先輩から聞かれた「あの登場曲のこと」
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逆に寺地が「なぜ?」とたびたび聞かれたこともあった。本拠地ZOZOマリンスタジアムでの登場曲が、19歳が生まれるずっと前の1983年にリリースされた尾崎豊の「僕が僕であるために」であることだ。「明徳義塾高校時代に、寮のお風呂とかでよく流れていたんですよ」と照れながら説明すると、優しい先輩たちは興味津々に聞き入ってくれた。
2日間、共に戦った球宴という特別な時を終えると選手たちは再び自分たちのチームに合流し、また敵として相まみえる。寺地は後半戦に向けた抱負をこう語る。
「前半戦以上の率を意識したい。守備の方は課題が多い。ただ一気に全て上げるのは難しいというのは分かっている。少しずつ確実にレベルアップしたい。シーズン終わった時にアイツ、成長したなと今回、オールスターに出ていた皆様に思われるように」
19歳が語る「理想の人間像」
前半戦は69試合に出場して打率.274、5本塁打、22打点の成績を残した。球団で10代捕手が本塁打を記録したのは68年ぶり。7月17日のホークス戦(北九州)では4番に入り、10代のスタメン4番はパ・リーグでは清原和博氏以来、38年ぶり、球団では69年ぶりという快挙も果たした。
様々な話題を集めながら突っ走った前半戦。さらに後半戦は成長をした姿を見せるべく燃えている。常々、理想の人間像について「例えば目の前にゴミが落ちていたら、悩むことなくサッと拾える人」と即答する19歳。オールスターを機に野球選手としてのスキルも、人間力も上げて、スター街道を進んでいこうとしている。


