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ロッテの22歳山本大斗「明日、4番な。打てよ」から始まった“和製大砲”への道…サブローHCとの二人三脚秘話「お前ならいける…言葉が暗示に」
posted2025/06/09 11:05

さらなる活躍が期待される山本大斗
text by

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
プロ5年目で初めて4番に起用されたマリーンズの22歳、山本大斗外野手が、いきなり結果を出した。交流戦初戦となった6月4日、本拠地ZOZOマリンスタジアムでジャイアンツと対戦。2回の第1打席、山本がボールを押し潰すように叩いた打球はライトスタンドへ消えていった。今季4号は逆方向への一発。4番として迎えた初打席で、いきなりのホームランを記録した。
育成3位から描いた成長曲線
2020年の育成ドラフト3位でマリーンズ入り。2022年に支配下登録され、今年4月にはプロ初本塁打を放った。打線が低迷するチームの中で、貪欲にアピールを続けていた若武者が、大きなチャンスをつかみつつある。
マリーンズで育成出身の選手が4番に起用されるのは初めてだ。そして、4番の初打席で本塁打を放ったのは過去4人しかいない。そのうちの一人が、6月2日に一軍ヘッドコーチへの昇格が発表されたサブロー氏だった。この試合が、一軍ベンチ入り初戦。かつて二軍監督として山本を育てた指導者の前で放った一発は、深い縁を感じる記録となった。
突然言われた“4番抜擢”
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前日の6月3日のことだった。山本はサブローヘッドコーチから言われた。
「明日、4番な。打てよ」
いつものようにボソッと一言だけ話しかけられた。山本は耳を疑ったという。短い言葉だったが、それはあまりにも重い言葉だった。
「マジかあ……。めちゃくちゃ緊張しました」
普通なら、その夜は緊張のあまり眠れなくなる。しかし、その豪快さから“ダイナマイト”の異名を持つ山本は違った。「明日が楽しみでワクワクして爆睡しちゃいました」と、豪快な笑顔で振り返った。