中日・高木守道が“涙の謝罪”「長嶋さん、申し訳ありません…」長嶋茂雄“あの引退試合”ウラ側…元フジテレビアナが見た「長嶋さんの予想外だった行動」 

「私にとって幸いだったのは、当時の巨人の広報が大阪読売新聞の立ち上げに関わっていた私の父の後輩で……（笑）。フジの岩佐は邪険には出来ないと思っていたんじゃないでしょうか。ハハハ」

「長嶋さんは30歳に近づくにつれ、いい顔になっていきました。入団して3、4年目までは、なんというか野性味あふれる表情をしているんです。これは写真を見ると分かりますよ。それが巨人の中心選手になってから、変わってきた。きっと、立場が長嶋さんを作ったんだと思います」

1970年撮影、当時34歳　©BUNGEISHUNJU

「5分、6分…長嶋さんは編集者泣かせ」

　プロ野球界は、「ON時代」が本格的に始まろうとしていた。

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「王（貞治）さんが本塁打王を初めて獲得したのが1962年。ON時代に突入したばかりでした。年を追うごとに人気はうなぎ上りで、宮崎のキャンプ取材に行くと、一塁側で王さん、三塁側では長嶋さんの千本ノックが行われていて、それをCMの撮影班が追いかけていたのを思い出します。まさに、両雄です。ふたりが特別だったのは、ヘルメットを見ても分かりました。王さんと長嶋さんのヘルメットだけは、アメリカへの特注品です。ヘルメットの内側は目にも鮮やかなグリーンのベルベットだったのか、光沢のある生地が使われていました」

　別格のふたりだったが、その性格も対照的だった。「インタビューでも、両者のキャラクターの違いが如実に表れていました」と岩佐さんは振り返る。王は謹厳実直。長嶋は……。

遠征先、旅館の和室でスイングの練習をする（1970年、当時34歳）　©BUNGEISHUNJU

「王さんは、きっちり3分でポイントを押さえてくれます。一方、長嶋さんはサービス精神が旺盛なので、話が延びるんです。5分、6分、広報はやきもきしていたことでしょう（笑）。ただ、話が長くなっていくと、主語と述語がいくつも出てくるんです。インタビュー映像を編集者がつなごうとすると、これがむずかしい（笑）。長嶋さんは編集者泣かせでしたね」

ドラゴンズ高木守道が「涙の謝罪電話」

　1960年代から70年代にかけ、巨人は前人未到の9連覇を達成し、長嶋は戦後日本を代表する人物になっていく。そして1974年10月14日、後楽園球場で引退する。

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