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「ソフトバンク“出身組”が中日で活躍していた…」中日選手・コーチ4人が証言する“最強ホークスとの違い”「歯がゆい?もちろん」松中信彦も証言 

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長尾隆広

長尾隆広Takahiro Nagao

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photograph bySankei Shimbun

posted2025/05/25 06:00

「ソフトバンク“出身組”が中日で活躍していた…」中日選手・コーチ4人が証言する“最強ホークスとの違い”「歯がゆい?もちろん」松中信彦も証言<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

今季から中日の打撃コーチを務める松中信彦(左)。ホークス時代、三冠王に輝いた実績をもつ

「今と昔を比べちゃいけないが、当時はシートノックから(敵を)圧倒していた。とにかく隙を見せない。キャンプから死ぬ気でやってきたことでもある。それが今のドラゴンズの若い選手を見ると、“調整”のように見えてしまうことがある。ホークスが強くなったのは、そのシートノックでお客さんを呼べたから。外野からの返球、塁上のタッチプレー。試合と同じように、コンマ何秒を争うタッチをする。速く、強く。そのプレーはおそらく年間で1、2回しかないけど、絶対に起きる。相手チームから見たら『なんでホークスはこんな真面目にやっているんだ?』と思ったはず。でも、ドラゴンズは『練習のための練習』、当時のホークスは『試合のための練習』だった。それは打撃も一緒。練習でやってきたことをあそこ(打席)で出せと言っても、いざとなると違うことをやる。そういうところがちょっと違うかな。僕たちが強くなったのは、試合のために準備をする。試合のためにどういう準備が大事なのかを常に考えていた」

 コーチも分業制を敷くプロ野球では、担当業務以外は基本的に口を出さない。松中コーチは、2月の春季キャンプのシートノックから積極的に、「タッチしっかりしよう」「その1球を大事に」と声をかけ続けていたという。

 試合前のシートノックの出来栄えで、試合の勝敗が決まるわけではない。それでも「神は細部に宿る」とも言われ、試合前の準備や取り組みが結果に出るのも事実。これからの伸び代として、注視したい。

得点力不足「歯がゆい?もちろん」

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 打撃面でも求めるものは必然的に高い。

「僕も王(貞治)さんにすごくお世話になって、勉強させていただいた。何が違うって、直球を捉え切れる力。その辺の違いをすごく感じる。歯がゆい? もちろん。簡単に直球を見逃して、難しい球をファウルして、最後にボール球に手を出す。難しい打撃をしてしまっている。もっとシンプルに、直球をしっかり捉えようと言っている。ホークスは、(変化球に)泳ぐことを怖がらない、崩されることを怖がらなかった。王さんの教えもありますけどね」

 中日の最大の弱点が、得点数の少なさだ。昨年の得点数373点は、12球団で11位(セ・リーグ最下位)、今年もここまで93得点とリーグワーストだ。昨年チームトップの打点を叩き出した主砲・細川成也を筆頭に、中田翔、福永裕基、村松開人、石川昂弥の5人が二軍で調整中ということも大きく影響しているが、今後、松中イズムの浸透となるか。

【次ページ】 「ピリピリ…鬼気迫る表情」岩嵜の証言

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