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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「ソフトバンク“出身組”が中日で活躍していた…」中日選手・コーチ4人が証言する“最強ホークスとの違い”「歯がゆい?もちろん」松中信彦も証言
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長尾隆広Takahiro Nagao
photograph bySankei Shimbun
posted2025/05/25 06:00
今季から中日の打撃コーチを務める松中信彦(左)。ホークス時代、三冠王に輝いた実績をもつ
「ピリピリ…鬼気迫る表情」岩嵜の証言
ソフトバンクの“恐ろしさ”を教えてくれたのが、岩嵜翔だ。2017年には72試合に登板し、最優秀中継ぎのタイトルを獲得。当時は、サファテ、モイネロ、森唯斗、嘉弥真新也らと鉄壁のリリーフ陣を形成し、又吉克樹のソフトバンク移籍に伴い、中日へ加入。トミー・ジョン手術、長いリハビリを経て復活し、今年4月1日の巨人戦(バンテリンD)で、ドラゴンズでの初勝利も手に入れた。
そんな岩嵜も、松中コーチが挙げたシートノックの迫力を力説し、ホークスの「伝統」も教えてくれた。
「松中さんがキャンプのシートノックと話しているように、どの解説者が来ても『ホークスはこの時期(2月のキャンプ)から来ても、鬼気迫るものがある』と話していました。投内連携一つにしても1つのミスも許されないというか、そういう部分で勝ちへのワンプレーの大事さを植え付けられてきました。先輩を見て、僕たちも真似ていた。どの練習でもピリピリしていた。それがライバル意識になって、無意識のうちに競争していたのかな。和田(毅)さんや、杉内(俊哉)さん、摂津(正)さんがブルペンにいてバチバチ、鬼気迫る表情で投げ込んでいた。野手の先輩もすごかった。主力選手が全然帰らないので、(野手の)若手はなかなか帰れない雰囲気はありましたね。これもホークスの“伝統”かもしれません」
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私がスポーツ新聞の番記者をしていた5年半、キャンプ取材中に何度もシートノックや投内連携を見てきた。特に投手のサインプレーなどは非常に緊張感があり、観客の視線も相まってヒリヒリしている。送球に不安を抱えている若手投手が、その緊張感に耐えかね暴投やミスを連発し、うつむいてメイン球場を後にする姿を何度も見た。
おそらく岩嵜は、より圧倒される空間で不安や恐怖に打ち勝ち、ポジションを掴んでいったのだろう。決して自信過剰ではなく、「まだまだドラゴンズの若手には負けてられない」。そんな雰囲気が、右腕への取材中にずっしりと伝わってきた。
上林誠知はどう見る?
戦力外からドラゴンズで逆襲を期する男がいる。上林誠知である。彼の言葉にも説得力があった――。
〈つづく〉

