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「そのための布石だな、と」森保監督がフランス名門誌に語ったカタールW杯ドイツ戦“番狂わせの舞台裏”「感情の爆発はあまりないです」
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/06/14 17:14
サッカー日本代表の森保一監督。昨夏、フランスの専門誌にカタールW杯ドイツ戦の勝利について語っていた
どちらも優勝経験国で大会の優勝候補でもある。本物とやれば自分たちの現在地がよくわかる。2050年までにW杯に優勝するという目標を日本が掲げるなかで、自分たちに何ができて何が足りないかが明確になるし、負けても何かが得られる。未来につながる戦いができると思っていました。
抽選後もベスト8という目標は変えなかった。グループリーグを突破しなければベスト16にもベスト8にも行けないわけで、ドイツやスペインのような強豪に勝たなければたどり着けない。だから目標は変える必要がないと。ベスト8は日本がまだ見たことのない景色で、そこに到達するのは日本がW杯優勝を狙えるクラスに入ることだと考えていました。
“ドイツ戦の伏線”となった2試合とは
●ゲームプラン
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ドイツは局面を打開し攻守に勝っていく個の力がありますし、組織的にも戦術的にもいろいろなバリエーションを持って戦うチームで、個も組織も世界のトップクラスです。システムも可変で、ベースは4-2-3-1ですが攻撃では3-4-3に形を変える。中盤の流動性に特徴があり、そのキーとなっているのがトーマス・ミュラーなので、バイエルン対ドルトムント戦の映像などを見て彼の動きを警戒しました。
9月にドイツでおこなった2試合(2対0アメリカ、0対0エクアドル)が、この試合の伏線になったと思っています。ドイツが日本にやりたいことに対して、両試合ともわれわれが後手を踏んでいたし、大会直前のカナダ戦でもそれはあった。それらの試合を見たら、ドイツは日本が対応できないことをやって来るだろうなと。そこにどう対応するか、そのための布石だなと思っていました。
前田大然と鎌田大地が相手の3バックに、左サイドの久保建英と長友佑都がミュラーとセルジュ・ニャブリに、右サイドの伊東純也と酒井宏樹がジャマル・ムシアラとダビド・ラウムに対応するというのが基本的な戦術でした。伊東と久保の両ウィングは、スピードがあるし守備もよくする。攻撃では伊東は質の高いクロスを供給し、久保はボックス内で個の力でチャンスを作り出せる。トップに前田を選んだのは、運動量と激しいプレスを前線からかけられるからで、浅野拓磨のスピードは後半の方が生かせると思いベンチに温存しました。プランBの3バックは、5-4-1ともいえる守備的なシステムですが、両ウィングバックに攻撃的な選手を置くことで攻撃オプションとしても使える。そこまで想定して準備を進めました。
試合前に伝えた「前半0-1なら想定内」
●直前の選手への言葉
ドイツ戦の前日にサウジアラビアがアルゼンチンを破ったのは、われわれを大いに勇気づけてくれました。

