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「そのための布石だな、と」森保監督がフランス名門誌に語ったカタールW杯ドイツ戦“番狂わせの舞台裏”「感情の爆発はあまりないです」
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/06/14 17:14
サッカー日本代表の森保一監督。昨夏、フランスの専門誌にカタールW杯ドイツ戦の勝利について語っていた
3バックへのシステム変更には、選手たちも納得していました。久保に替えて冨安健洋を入れ、ムシアラには板倉滉、ミュラーは冨安、ニャブリは長友、ラウムは酒井がそれぞれマークする。ミュラーがポジションを下げても冨安が追いかけ、長友はそのままニャブリをケアし続ける。前線も前田のトップはそのままに、伊東が右で鎌田が左。目的はムシアラの自由な動きを制限しスペースを消すこと。そして高い位置でボールを奪う。
それぞれの役割はシンプルで分かりやすくなりましたが、局面を1対1にするのは凄く勇気がいる。自分たちが勝てないと思ったらできないことですから。でも選手たちは冷静さを失わず、マッチアップして世界の強豪相手にも1対1で勝てることを見せてくれました。
浅野の2点目は…彼のベストトラップでした(笑)
●後半
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後半もピンチは多くありましたが、あるときからもう失点はないなと思えるようになりました。イルカイ・ギュンドアンのシュートがポストを叩き(7分)、その後、権田修一が4連続セーブでチームを救い(25~26分)、『これはもうやられないかも知れない。ピンチはあっても失点はないかも』と。根拠はありません。ツキです(笑)。試合の流れ全体からツキがあると思いました。
選手は凄く冷静で、1対1の局面でインテンシティが上がった。誰にいつ行くか、誰にプレッシャーをかけるかが明確になり、運動量と強度が高まりました。後半の方がフィジカルはきつかったでしょうが、精神的にはクリアになり、前半のどうしていいのかわからない状態から、「ああ、こうやって行くんだ」とみんなの絵が繋がったと思います。
堂安の同点ゴール(75分)も、三笘と南野拓実の個の特徴とコンビネーションが良く出たものでしたが、浅野の決勝ゴール(83分)も素晴らしかった。チームのコンセプトとして、フリーキックではまずクイックリスタートを考える。それを板倉と浅野がアイコンタクトで実践した。それからトラップが凄かった。めちゃくちゃ難しかったと思うんです。背後からのボールを、繊細なタッチでコントロールして……。私が見た中で彼のベストトラップでした(笑)。
興奮はしても、感情の爆発はあまりないです
●試合後の印象
2点目が決まったとき、喜びもありましたが試合をどう終えようかを考えていました。次のコスタリカ戦はもう始まっている。興奮はしても、常にいろいろな状況にどう対処するかを考えて、感情の爆発はあまりないです。
ただ、W杯優勝チームに本大会で勝つのは初めてのことですし、計算づくもターンオーバーもない、相手も絶対に勝ちにきているリーグ戦初戦で勝つことができた。歴史的な勝利だったと思います。〈第1回からつづく〉


