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「そのための布石だな、と」森保監督がフランス名門誌に語ったカタールW杯ドイツ戦“番狂わせの舞台裏”「感情の爆発はあまりないです」
posted2025/06/14 17:14

サッカー日本代表の森保一監督。昨夏、フランスの専門誌にカタールW杯ドイツ戦の勝利について語っていた
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kiichi Matsumoto
フランスフットボール誌(FF誌)による日本特集の第6回(最終回)である。
久保建英のインタビューと並んで日本人の興味を掻き立てるのは、森保一日本代表監督自身が語るカタールW杯のドイツ対日本戦だろう。「Au tableau(オウ・タブロー)」というFF誌の人気連載のひとつで、監督がホワイトボードを使って歴史的な試合を詳細に説明するもの。過去にはディディエ・デシャン(フランス代表監督/ロシアW杯フランス対アルゼンチン戦)やチェーザレ・プランデッリ(元イタリア代表監督/EURO2012準決勝ドイツ対イタリア戦)など名将が登場している。
仏誌編集長「日本の戦いぶりは繊細で緻密だった」
ヴァンサン・ガルシアFF誌編集長は、森保監督とドイツ対日本戦を選んだ理由をこう語った。
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「ロシア大会のベスト16ではベルギーにアディショナルタイムの失点で敗れたとはいえ、近年の日本の躍進は目覚ましい。その日本がカタールW杯では、自分たちにとって『死のグループ』ともいえるドイツ、スペインと同じ組に入った。ドイツとスペインは、突破は自分たちで決まりと当然思っていたし世間の評価も同じだった。
そんな中での日本の勝利。ひとつだけなら番狂わせだが、スペインも破ったとなるともはや番狂わせではない。たしかにどちらの試合も、ボール支配率では圧倒的にドイツとスペインが上回ったが、日本は最後まで冷静さを失わず、戦いぶりは繊細で緻密だった。特に初戦のドイツ戦は時間をかけて準備した試合だし、ぜひとも取り上げるべきだと思った」
また、「日本が目標とする2050年までのW杯優勝は達成できると思いますか」という問いには、次の言葉が返ってきた。
「最近の成長を見れば十分に可能だ。ヨーロッパでプレーする選手の数は飛躍的に増え、レベルも向上している。国を挙げて真摯にサッカーに取り組んでいるのだろう。超えるべきステップはまだ多いが、期待できるとは思っている」
日本を世界に印象づけたドイツ戦について、森保監督には試合へのアプローチ、ゲームプラン、直前の選手への言葉、前半、ハーフタイム、後半、試合後の印象という7つの項目に分けて、誌面で詳細に語ってもらった。ここにその一部を紹介する。
ドイツ、スペインと同組を「いいこと」と思ったワケ
●試合へのアプローチ
ドイツ、スペインと同じグループに入ったことは、日本にとってとてもいいことだと思いました。