「その件については、私もタイミングを見てすべてをお話ししたい思いではいましたが、弁護士さんとも相談したうえで、あえて一度も深く話してこなかった経緯があります」

　週刊誌での報道に端を発し、Jリーグからの処分はあったものの、どこまでが真実なのか不明なまま憶測で事が広がってしまった部分が少なからずあったのだろう。

「就任の経緯については、三木谷さんから声をかけていただいたということです。（選手時代からの仲だったため）、最初は心配して連絡をくれたんだと思います。1度目はただ食事をして『大丈夫？　本当のところはどうなの？』って。私としても、すべてを正直に話しました。そのうえで、改めてお会いする機会があり、正式にお話をもらいました。

　ヴィッセルで仕事を始める際には楽天グループのコンプライアンスやハラスメントの研修を受けさせてもらい、すごく勉強になりました。情熱は失ってはいけないと思いますが、後輩やスタッフ、選手との接し方はいまと昔ではまったく違うと改めて気づかされました。

　私はプロのスタートが当時のヴェルディだったので、プロ意識とはどういうものかということは、そこで叩きこまれました。ただ、当時の考えをなかなか変えることができなかったというのは認めざるを得ません。指導だったとしても行き過ぎてしまったことは反省しています」

©J.LEAGUE

「教え子たちとはやり取りしています」

　自身の原点だった東京ヴェルディが長くJ2に低迷していたなか、監督に就任したことで、力が入り過ぎてしまったことも否めないだろう。そんな永井だからこそ、昨季は古巣の東京Vがプレーオフの末に16年ぶりにJ1復帰を決めたことも素直にうれしいと話した。

「教え子たちとはいまもやり取りをしています。たとえば（森田）晃樹は、自分がユースの監督だったときに、主将に指名しました。サッカーセンスは抜群ですが、もともとは大人しいキャラクター。でも、内に秘めた闘志があり、誰よりもチームのことを考えている選手です。そんな彼がキャプテンを務めていて、（昇格プレーオフ決勝の対清水戦で）ハンドで（相手の先制点につながる）PKを与えてしまった。責任感の強い選手だけにその後のプレーに影響しないか心配していたので、最後は昇格できてホッとしました。

　私はいまヴィッセルのSDという立場ですが、やっぱりヴェルディはJ2にいちゃいけない存在ですから。今季ヴェルディとの対戦も楽しみにしています」

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「一番嫌なのは戦力外通告ですね」「三木谷オーナーとの板挟み？ ないです（苦笑）」……連載前編では51歳での“転職”、永井さんがスポーツダイレクターの仕事の中身を明かしています。

＜前編、中編から続く＞