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「あの日、クラブは消滅寸前でした…」楽天・三木谷浩史社長“涙の20分間スピーチ”がヴィッセル神戸を変えた「負債16億円“どん底”から優勝」
posted2024/03/30 11:08
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Getty Images
51歳でスポーツダイレクターという新しい仕事に“転職”した永井秀樹(53歳)。昨季、ヴィッセル神戸の初優勝に貢献した。「間違いなく、あの日が転機でした」と永井が語る、三木谷浩史オーナー“涙の20分間スピーチ”とは――?【NumberWebインタビュー全3回の中編/前編、後編へ】
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永井秀樹が泣いた日
ヴィッセル神戸のスポーツダイレクター永井秀樹(53歳)は、昨季のJ1初優勝を振り返る際、2023年という1年間だけで語ることは難しいと強調する。
「1つ言えるのは昨季三木谷浩史オーナーになってからちょうど20年目のシーズンで、それまでの積み重ねがあったということです。2022年は想定外の不調もあって、まさかの残留争いに巻き込まれ何をやってもうまくいかない状況でした。2023年の初優勝はそんな苦境を乗り越えてきた結果でもあります」
永井は現役時代、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)、清水エスパルス、横浜フリューゲルス、横浜F・マリノスなどでプレー。リーグ戦、天皇杯、カップ戦とJリーグの主要タイトルをすべて獲得した。だが、それまで優勝して泣いたことはなかった。それなのに、昨季第33節の名古屋グランパス戦に2-1と勝って優勝が決まったあとは、不思議と涙がこぼれてきたと明かす。
「3度も泣きました…」
その名古屋戦で貴重な先制点を挙げたのは、永井自らが獲得に動いたMF井出遥也だった(インタビュー前編参照)。井出の活躍はもちろん嬉しかったが、涙の理由はほかにあった。