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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「夢に試合のシーンが出てきて…」鈴木彩艶がいま明かす“アジアカップの苦しみ”とは? 胸に響いた“冨安健洋の言葉”「すべて過程だから」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byNumber Web
posted2024/03/06 11:06
2月下旬、ベルギーからリモートでのインタビューに応じてくれた鈴木彩艶。取材中には明るい笑顔も見せていた
「大志は同年代なので特に話すことが多く、プレーの具体的な話は大志とすることが一番多かったと思います。一つひとつのハイボールについて、キャッチすべきか、パンチすべきなのか、キャッチの判断ならどうキャッチするのか……。細かいキーパーの技術のところを話していました。大志から意見を聞いて取り入れられたこともありますし、自分が思っていたことがより一層クリアになった部分もありました」
フィールドプレーヤーたちも若い鈴木をピッチ内外でサポートしていた。
「遠藤(航)選手は僕がクロスに対してパワーを持って出ることができると知っているので、『ミスをしてもいいからとにかく思い切って出てこいよ』と常に言ってくれていました。冨安(健洋)選手は試合がうまくいかない時に『これはすべて過程だから。最後に成功したらOKなんだよ』と声をかけてくれて……。非常に勇気を貰う言葉でしたね」
鈴木はもちろんのこと、チーム全体が「終わり良ければ全て良しではないですけど、最後に優勝したらいいんだ、と思っていました」という強気のマインドを保っていた。結果的にアジアカップはベスト8で終わってしまったが、冨安の「すべて過程」という言葉は、これから続く鈴木の長いキャリアの中で異なる意味合いを持つことになった。
イラン戦のPKで得た教訓「もっと自分からアクションを」
攻撃面では、自身の強みをピッチで表現することもできた。
イラク戦の11分、相手DFの裏のスペースに抜けようとする浅野拓磨を狙ったピンポイントのロングキックは鈴木の真骨頂だった。インドネシア戦では2-0で迎えた54分、前線のスペースへ走る堂安律への見事なパントキックがあった。バーレーン戦でも、相手がプレスに来てパスコースが消されていた中、センターサークル付近の旗手怜央へ縦パスをつけたプレーの冷静さが光った。
準々決勝でイランに屈したが、この試合からは今後につながる思考も得た。後半アディショナルタイムにPKを与えた場面――冨安と板倉滉が交錯した後、板倉が相手を倒してしまったシーンを、鈴木はひとつの教訓として捉えている。