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日本人が知らない、なでしこジャパン“本当の評価”「ここまでのベストチームだ」日本ファンになる英国人記者、「正直驚いた」敗者スペインはイライラ
posted2023/08/04 17:03
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
JFA/AFLO
サッカー女子ワールドカップの外電を読むのが楽しい。特に4対0でスペインを破ったあとは、読んでいるだけでも興奮してしまった。
まずは、アメリカのESPNから紹介していくことにしよう。バルセロナを基盤に活動しているサム・マーズデン記者は、スペイン視点からこの試合を振り返っている。
「スペインのポゼッションは77%だったのに…」
記事ではスペインの中盤、アイタナ・ボンマティのコメントが紹介されている。ボンマティは日本のディフェンスにずいぶんと戸惑ったようだ。
「日本は本当にインテリジェントなゲームを見せてきた。個人的には、日本が引いて“ローブロック”を固めてきたことに、とても驚いた。日本が私たちのミスを待って、カウンターを仕掛けてくるなんて」
この試合、スペインのポゼッションは77パーセント。圧倒的な支配力である。しかし、ポゼッションは得点を保証しない。
「誰かが教えてくれたけど、前半の日本は敵陣でプレーしたのがたった二十数秒だったのに、3点を取っていたって」
ボール支配は気持ちの安定を生むはずなのに、この日はストレスを生む源となっていた。攻めても攻めても状況が打開できないことに、ボンマティは苛立っていた。
「すべてのポゼッションで苦労したというのが本音。なぜなら、日本の守備はとても組織的に整備されていて、崩すことが出来なかったから。いい試合をするためには、もっと自分たちのリソースを最大限に活用しなければならなかったと思う」
「日本はこれまでのベストチームだ」
この大勝は、ヨーロッパでの見方も大きく変えたようだ。「ユーロスポーツ」のポール・ハッサール記者は日本の組織力を高く評価する。