- #1
- #2
メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
MLB最速で500奪三振に到達も、野茂英雄が口にした「メジャーはそんなに甘くない」…ドジャースの初代日本語通訳が明かす「NOMOフィーバーの裏側」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKoji Asakura
posted2024/02/24 11:07
野茂英雄のドジャース時代の初代通訳が見た約30年前の名門球団の実像とは?
エンゼルスとドジャースの違い
大谷はエンゼルスからドジャースへの移籍となった。同じロサンゼルスを本拠地とするチームでも、ファンの気質は大きく異なるという。
「エンゼルスのファンは一言で言えばお上品なんです。地理的にもアナハイムから下の方はサンディエゴまで高級住宅エリアが続いていく。一方でダウンタウンのてっぺんにあるドジャースは熱狂的で、ノリが良くて“ガヤ”が凄いという印象があります。ロサンゼルスはヒスパニック系が多くてみんな地元のドジャースが大好き。彼らはファミリーも子供も多いので、大人数で球場に来てワイワイと野球を観て楽しむ印象があります。日本の野球の知識も深いので野茂もすごく愛されていましたし、その後ドジャースでプレーした日本人選手も応援されてきた。大谷選手や山本投手の加入は、おそらく日本人以上に喜んでいると思います」
夏場のナイターはボールが飛ばないという印象
奥村氏は現在、ヤクルトの国際担当グループのトップとして、外国人選手の獲得に関わっている。メジャーリーグとも太いパイプを持つ立場から、大谷や山本の挑戦をどのように見ているのか。
「本拠地のドジャースタジアムはピッチャー優位の球場で、特に昼夜の寒暖差がある夏場のナイターはボールが飛ばないという印象があります。山本投手はもちろん、大谷選手も来年以降は投手としてマウンドに立つでしょうし、そう考えると立地的にもアドバンテージのある球場だと思います。野茂が入った時は年俸10万ドル(当時約980万円)でしたから、特に大谷選手はその1万倍からのスタートになる。1球の重みという意味で大きな責任を背負っていると思いますし、これは本当に大変なことです。“野球を楽しみたい”というだけでは片付けられない重みがあると思うので、その中でどんな活躍をするのか注目しています」
29年の時を経て再び日米を熱狂させるドジャーブルーの旋風。日本人メジャーリーガーが刻む新たな歴史を奥村氏も楽しみにしている。
<「メジャー1年目」編とあわせてお読みください>