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シカゴでも日々是勉強。今永昇太、不変の哲学。
posted2024/02/25 09:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
「Hey Chicago!」
カブスへの移籍が決まった今永昇太が、米国時間1月12日の入団会見の第一声で、カブスの勝利時の愛唱歌「Go Cubs Go」のフレーズを織り交ぜてあいさつし、会場の笑いを誘った。その一方で、ジェド・ホイヤー編成本部長に「投げる哲学者」と紹介された左腕は、真剣な眼差しで決断理由を口にした。
「自分自身、可能性が無限大に広がるチームを求めていたので、カブスに入団することが自分の成長につながると思って決めました」
45日間の移籍交渉は、期限寸前まで予断を許さなかった。大谷翔平、山本由伸(ともにドジャース)の交渉が昨年内に決着。その後、今永の交渉も加速するかと思われたが、市場全体の動きはスローダウンした。だが、今永は焦ることなく、代理人関係者が拠点を置くシカゴで機が熟するのを待っていた。ポスティング正式申請前の昨年11月には、同地でNHL、NBAの会場などを訪れ、オフ期間を満喫した。年末に再訪問した際も、カブスとの交渉は具体化していなかった。実際、契約後、地元メディアには「カブスがオファーを出してくれたらと言ったことがあったけど、ほぼジョークのような感じだった。その時点でカブスの可能性はなかった」と裏事情を明かした。