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「度会を獲ったならクビを懸ける覚悟が要る」元GM高田繁が語る“DeNA26年ぶり優勝”に必要なこと…三浦監督の成功は「今後の球団方針に関わる」
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byJIJI PRESS
posted2024/02/28 11:01
昨年のドラフトで横浜から1位指名されたENEOSの度会隆輝。大卒投手に逸材が多いと言われた年だけに、社会人野手の1位指名には驚きの声も
――お察しいたします。
高田 ただね。三浦には頑張ってもらわなければならないよ。DeNAになって生え抜きの監督が準備期間を経て監督になった最初のケースなんだ。これがうまくいかなかったら、今度は誰になる。『やっぱりスター選手は監督だとダメだった』となったら、今度はよそのチームで実績を積んだ『勝てる監督を連れてこい』となるのが定石だよ。
でも、そうじゃないでしょ。さっきも言ったけど、どんな名将と呼ばれる人でも、監督で勝てるのは10試合。それ以前の戦力がなければ勝てるわけがない。それはこの球団の歴史を見てもわかる。他球団で名将と呼ばれた森祇晶さんでも、古葉竹識さんでもみんな途中でクビになってるでしょ。
――三浦監督になって球団史上初めて生え抜き監督がAクラスになったぐらい、監督とクジラは他所から連れてくるのが伝統になっていたチームです。
高田 理想は自分のところで監督も作れることですよ。俺も日本ハムとヤクルトで監督をやったけど、他所からポンと来て監督をやっても、選手の力量を外から見るのと実際では違うことが多いからね。把握するには1年~1年半はかかるのよ。
できたら自前で監督候補を常に二人ぐらい育てているのが理想なんだけど、そういう指導者としてのレールにこの球団ではじめて乗ったのが三浦だった。だから彼が成功するかどうかによって、これからの方針にまた差が出て来るやろな。
「ファンを大事に…その上で勝てる監督」
――あんまり重圧を懸けたくないですが責任重大ですね。
高田 どんな英雄的な選手でも、最初は大騒ぎで歓迎されていても、結果が出なければヤメロヤメロと叩かれる。それはどこの球団でもね。ただ、球団によって監督に求められる色が違う。DeNAの場合は、ファンを大事にしてくれて、マスコミと良い関係を築ける人。
そのうえで勝っていける監督を求めたし、中畑(清)もラミレスも三浦も条件に適合した。ここに勝つことを最優先にした落合(博満)を連れてきても、絶対に成功はしないでしょ。特に三浦はファンから大事にされている。だからこそ、結果を残してほしいよね。今シーズンも祈るような思いで見ているよ。