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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
DeNA戦力外→アメリカ最高峰の独立リーグで打率3割超え&42盗塁、乙坂智30歳が振り返る「“MLBのショーケース”で起きていたこと」「筒香嘉智との再会」
posted2024/02/26 11:01
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Tomo Otosaka
「動かないと景色は変わらないんで。まあ、とにかく情熱ですよね」
軽い調子の口調ではあったが、それとは裏腹に真剣な表情で乙坂智は言った。
元横浜DeNAベイスターズの外野手であり、過去2シーズンにわたり、メキシカンリーグ、ベネズエラウィンターリーグ、そして米独立リーグでプレーをしてきた乙坂。異国での奮闘の日々。すべては、夢であるMLBのチームに入団するためだ。
「そんな簡単なことじゃないとは覚悟していたし、依然として壁は厚いし、障害も多い。けど、諦めることなく今やれることに向き合っていくしかないんです」
MLBへの人生で初めて変化球で押し込まれる
一昨年の2022年シーズンは、メキシコとベネズエラでプレーし、両リーグ通算で128試合に出場し176安打、3本塁打、打率.354、41打点、41盗塁を記録した。この成績が評価され、翌2023年シーズンは、米独立リーグのアトランティックリーグ(ATLL)に所属するヨーク・レボリューションに入団をした。4月から9月にかけて開催されるATLLは、数ある米独立リーグの中で最もレベルが高く、またMLBが支援するパートナーリーグということもり、MLB各球団のマイナーリーグに所属していない選手たちからすれば、メジャーへのチャンスを掴むことのできる最前線だといえる。
「ATLLからMLBのマイナー契約を勝ち取る選手は多くいると聞いていましたし、ヨークからオファーがあったときは、選択肢として、これはもう行くしかないという感じでしたね」
好機を窺う猛者たちとの戦い。実際にグラウンドに立つとレベルの高さを肌で感じた。
「メジャー経験者やMLB予備軍がそこかしこにいるので、アメリカはやっぱりすごいなって素直に思いましたよ。特にピッチャーはいい選手が多かったですね。100マイル(約161キロ)の真っすぐやツーシームを投げるピッチャーはいますし、カットボールでも95マイル(約153キロ)とか、人生で初めて変化球で押し込まれる経験をしましたね」
序盤は好調も…
それでも乙坂は初出場から打撃が好調で、6試合で打率.480、7打点、OPS1.159という好スタートを切った。