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「森保は漢字の間違いが多くてね…」“じつは勉強が苦手だった”森保一監督を変えた新人時代…恩師が明かす「“森保メモ”はこうして生まれた」 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2024/02/11 11:26

「森保は漢字の間違いが多くてね…」“じつは勉強が苦手だった”森保一監督を変えた新人時代…恩師が明かす「“森保メモ”はこうして生まれた」<Number Web> photograph by AFLO

試合中にメモをとる森保一監督。その原点は高卒で入団したマツダ時代にあった

「マツダ社内で社員教育を担当している人を講師に呼んで、週に1、2回、選手にスピーチしてもらいました。

 人前で話すには、まず日々何を感じ、何を考えているかを理解しなければならない。ノートをつけていれば頭を整理できるし、話すことの種も見つかる。

 たとえば、小学生に向けてスピーチをするときには、事前に『なぜサッカーを好きになったのか』、『なぜ続けようと思ったのか』、『今後どう生かしていくのか』をメモしておき、それを見ながら話せばいいとアドバイスしていました」

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 メモをして、それを元に話す――まさに森保が日本代表の試合でやっていることだ。「森保メモ」の源流は、今西の教育にあったのである。

 今西の長女・祐子は日本代表のある試合で森保がメモしたとき、父が「わしの真似しとる」とつぶやいたのをよく覚えている。

「オフト監督も試合中にメモを取っていた」

 ちなみに「森保メモ」のルーツは、1980年代にマツダを率いたオランダ人監督ハンス・オフトだという説もある。オフトは試合前半にメモを取り、それを元に選手たちに指示を出していた。

 前川は当時のことをはっきり覚えている。

「オフトは紙を使って伝えるのがうまい監督で、試合当日のロッカールームには大きな模造紙が張ってありました。相手のシステムや誰が危険かといったスカウティング情報が書いてあるだけでなく、『スリーライン』、『トライアングル』、『コーチング』、『ルック・アラウンド』といった行動規範が書いてありました。そして試合中は殴り書きみたいな感じでメモを取り、ハーフタイムにその内容をフィードバックするんです。

 まあ、僕たちはメモと聞くと『高田メモ』を連想する部分もあります。のちにJヴィレッジの副社長にもなったマツダの通訳兼コーチの高田豊治さんが、練習でも試合でも常にメモを取っていた。なんでもかんでもメモするので、それをいじって『高田メモ』と呼んでいたんです。その影響もあるかもしれませんね」

 マツダおよびサンフレッチェ広島からは、これまでにたくさんの優れた名将が生まれてきた。

 小林伸二(元ギラヴァンツ北九州監督)、風間八宏(現南葛SC監督)、松田浩(現ガンバ大阪・フットボール本部本部長)、上野展裕(元福山シティ監督)、森山佳郎(現ベガルタ仙台監督)、高木琢也(元V・ファーレン長崎監督)、横内昭展(現ジュビロ磐田監督)、そして森保――。

 間違いなく今西の人間教育の賜物である。

 リーダーが人にメッセージを伝える際、抽象的なイメージを「言語化する能力」が極めて重要だ。メモはそれを育む最高の手段なのだろう。

<続く>

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森保一(もりやす・はじめ)

1968年8月23日、静岡県生まれ。長崎県出身。1987年に長崎日大高を卒業後、マツダサッカークラブ(現・サンフレッチェ広島)に入団する。現役時代は、広島、仙台などで活躍し、代表通算35試合出場。1993年10月にドーハの悲劇を経験。2003年に現役引退後、広島の監督として3度のJ1制覇。2018年ロシアW杯ではコーチを務め、2021年東京五輪では日本を4位に、2022年カタールW杯ではベスト16に導いた

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