誰も知らない森保一BACK NUMBER
「お前、何を言うとるんじゃ!」森保一監督が怒鳴られた“アマチュア時代”「私も生意気でした」2度の激怒が“補欠選手”森保を変えた
posted2024/02/15 11:06
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
AFLO
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長崎日大高を卒業し、18歳で名門・マツダに入団した森保一。
マツダ総監督(当時)の今西和男は社員教育によって森保に「聞く・書く・話す」を叩き込んだだけでなく(第10回参照)、真の「チームの輪」とは何かを植え付けたのである。
今西はマツダ時代、森保に対して2度激怒したことがある。
「お前、何を言うとるんじゃ!」
1度目は森保の入団2年目のこと。森保が19、20歳のころである。
マツダがあるチームと練習試合をやることになり、最初にBチームが対戦し、そのあとにAチームが対戦するというスケジュールが組まれた。当時Bチームだった森保は1試合目に出ると、次のAチームの試合を見ないで帰ってしまった。ルールを破ったわけではないが、グループの一体感をないがしろにする行為である。
翌日、森保はさらに独りよがりな言動をしてしまう。
森保が今西のもとを訪れ、「なぜ、僕はまだ(Aチームで)使ってもらえないのですか?」と質問したのだ。『徳は孤ならず 日本サッカーの育将 今西和男』(木村元彦著)によると、今西は声を張り上げて叱りつけた。
「お前、昨日のトップの試合も観もせんで、何を言うとるんじゃ! そうせんにゃー、どういうプレーをすればチームに貢献できるか、分からんじゃろうが!」
このとき森保は公式戦でまったくチャンスを与えられず、日本リーグでデビューさえできていなかった。それゆえに焦りを感じ、総監督に不満をぶつけてしまったのだ。
森保は書籍『聞く、伝える、考える。』(今西和男著)において、当時の反省を語った。
「私もAチームの試合に出られるかなと生意気になっていた部分もあったと思いますし、そこはしっかりと指導していただきました」
「何で先に座っとるんや!」
2度目は韓国遠征での一幕だ。