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「2人には少しガッカリ」「マエダは試合を閉める際に最適」トルシエが生観戦した日本代表をガチ評価…「サッカー大国との差は現実にある」
posted2025/12/21 11:03
日本代表のサイドと言えば三笘薫や中村敬斗、伊東純也や堂安律のイメージだが、トルシエは前田大然の存在を買っている
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kiichi Matsumoto
フィリップ・トルシエ元日本代表監督インタビューの第2回(全3回)である。
ボリビア戦の前半を、森保一監督による4バックのテストと捉えたトルシエは、攻撃での行き詰まりを見せた日本に対し、否定的な見解を述べる。だが、彼は、10月に勝利したブラジルのような格上の相手に対して、両アウトサイドに攻撃的な選手を置くのは野心的すぎると語っていた。ならば右サイドに菅原由勢を配したボリビア戦の布陣は、攻守のバランスを考慮したと言えないか。さらに、9月のメキシコ戦とアメリカ戦から始まった一連の強化試合をどう総括するのか……話を進めた。
日本の真のアイデンティティは3バックだ
――ボリビア戦の前半にテストした4バックについて、あなたはどう考えますか。
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「4バックは選択肢のひとつだが、問題が多い。日本は最終ラインからプレーを組み立て、主導権を握るチームだ。4バックでは相手も高い位置を取ってくるので、ディフェンスが固定化されてしまう。しかし3バック、あるいは5バックなら、相手は前線からのプレスをかけにくくなり、サイドの選手が低い位置まで下がればそこにスペースが生まれる。日本の長所は、後方から攻撃を組み立て、数秒でゴール前に3~4人が殺到できることだ」
――つまり、3バックの方が合っていると。
「日本の真のアイデンティティは3バックにある。このシステムだと2人のMFが相手のプレスに対抗できるし、伊東純也や久保建英、堂安律らの連係が円滑化し、逆サイドでは三笘薫や中村敬斗、前田大然らの動きが生きる。ボリビア戦の前半が停滞した原因は、システムによるものだった。以上が私の分析だ」
4バックは2番目のオプションですらない
――以前、ブラジルのような強豪相手に攻撃的な選手をサイドに置くのは「野心的すぎる」と話していましたが、一方で、彼らをサイドに配置することが日本の力でもあるわけですね。
「その通りだ。三笘や堂安、伊東、中村のような選手をサイドに置くのは、彼らがしっかりプレーできるからだ。彼らがサイドにいれば、相手を走らせることができる。ボールを保持し、自らイニシアチブを取り、何よりも攻撃を準備するためのシステムだ。日本にはこのシステムが絶対的に必要だ。なぜなら、クオリティの高い選手が揃っているからだ。その中でボリビア戦の前田は本当に素晴らしかった。精神面で彼は強く、どちらかといえば試合を閉める際に有効な選手だ」
――4バックはあくまでオプション、ということですか。

