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「バレー人生で一番の挫折でした」男子バレークラブ史上初“世界3位”の舞台ウラ…代表落選・司令塔の再起「もう一度日本代表に戻りたい」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph bySUNTORY SUNBIRDS
posted2023/12/13 17:20
世界クラブ男子選手権で日本勢初となる銅メダルを獲得したサントリーサンバーズ。セッター大宅真樹(28歳)はさまざまな思いを胸に、この大会に臨んでいた
日本では12月8日から天皇杯ファイナルラウンドが開催されている。その視察に訪れていた日本代表のフィリップ・ブラン監督に、「世界クラブ選手権は見ていますか?」と尋ねると、こう答えた。
「予選の2試合を見ました。大宅はいいプレーをしている。今季の最初からパフォーマンスがいいし、小野寺(太志)とのコンビもいい。(予選突破後に)『Congratulation!』とメッセージを送ったよ」
アピールはしっかりと届いているようだ。
「Vリーグも世界に通用する」
そして今回のサントリーのメダル獲得は、Vリーグにとって大きな意味を持つ。大宅は言う。
「日本バレーのレベルが上がっているということを、代表だけじゃなく、クラブチームでも証明できたと思います」
山村監督も「日本のバレーが世界に通じると、改めて発信することにつながったと思う」と胸を張る。
サントリーの奮闘はVリーグの他チームの選手たちにも刺激を与えた。サントリーが予選ラウンド1位通過を決めた翌日、天皇杯の会場で何人かの選手に話を聞いた。
2021-22シーズンのサントリーの優勝メンバーで、今季は東京グレートベアーズに所属する柳田将洋は、「Vリーグでトップのチームが世界に通用するということを彼らが示してくれているので、そこに追随できるようにすることが必要なのかなと思いますし、そこのベースが上がれば、リーグにとってすごくポジティブなこと。それは出ないと示せないところなので、今、歴史を作っている状況なのかなと思います」と語った。
来年は、22-23シーズンのVリーグ王者であるウルフドッグス名古屋がアジアクラブ選手権から世界を目指すことになる。セッターの永露元稀は、「大宅選手とは仲がいいので、その分ライバル心もあって意識して見ています。来年、サントリーよりも成績を残せるようにしたい」と意気込む。
これまでは、アジアクラブ選手権のために海外の有力選手を補強して臨むイランなどのチームに阻まれ、世界にたどり着けずにいたが、今回サントリーが、アジアを制して世界へ、というルートを切り拓き、Vリーグのトップは世界のトップを狙えると示した。
2024-25シーズンからは“世界最高峰のリーグ”を目標に掲げ、「Strong(強く)、Spread(広く)、Society(社会)」をテーマとする「S-Vリーグ」が新設される。「Strong」の面で大きな可能性を示した今回の結果を今後のリーグに活かさなければならない。