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「バレー人生で一番の挫折でした」男子バレークラブ史上初“世界3位”の舞台ウラ…代表落選・司令塔の再起「もう一度日本代表に戻りたい」
posted2023/12/13 17:20
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
SUNTORY SUNBIRDS
今年は男子バレーボール日本代表が、主要な世界大会で46年ぶりとなるメダルを獲得したり、パリ五輪予選で出場権を獲得し世界ランキングを4位に上昇させたが、日本男子バレーの快進撃は代表だけでなく、クラブチームにも及んでいる。
12月6日〜10日にインドで開催されたバレーボールのクラブチーム世界一決定戦「FIVB世界クラブ男子選手権大会2023」(ヨーロッパ代表2、南米代表2、アジア代表1、開催国枠1の計6チームが参加)で、アジア王者として初出場したVリーグのサントリーサンバーズが、日本勢として初の銅メダルを獲得した。
メダル獲得を決めた、ヨーロッパ代表ハルクバンク スポーツクラブ(トルコ)との3位決定戦は、どん底からの逆転劇だった。
司令塔・大宅によぎった前夜の悪夢
「僕を代えてください」
第1セットは10-16と引き離され、サントリーが2度目のタイムアウトを取った時、主将で絶対的な司令塔でもある大宅真樹は、山村宏太監督に訴えた。
大宅は大会後のインタビューでこう明かした。
「自分が自分じゃなかったので、とにかく冷静になりたかった。そのままコートに入っていたら切り替えられないと思ったので、とにかく1回代えてほしいとお願いしました。前日の試合を引きずって、不安で、プレーもブレブレだったので」
大宅は前夜の悪夢の残像を振り払えずにいた。
前日の準決勝は、南米代表のイタンベ ミナス(ブラジル)と互角の戦いを繰り広げ、試合はフルセットに。第5セット序盤はミナスに先行されるが、サントリーはリリーフサーバーの兪元泰のサービスエースで8-10。一気に追い上げムードが高まり、次も好守備でチャンスを作るが、ここで大宅がダブルコンタクトを取られた。
その後は、デ・アルマス アラインのサービスエースや藤中謙也の巧みなスパイクなどでデュースに持ち込んだものの、最後は、それまで窮地を救ってきたドミトリー・ムセルスキーのスパイクがアウトとなり、惜しくも決勝進出を逃していた。
「5セット目の終盤でドリブル(ダブルコンタクト)してしまったあの1本がずっと頭にあって。そのせいでチームを負けさせてしまったというのが、自分の中で大きかったので、そこからちょっとバグっちゃいましたね。それまでが良かっただけに、あの1本はかなり(精神的に)きました」