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「少なくとも5人の候補者に断られ…」イチローでも松井秀喜でも工藤公康でもなく…“WBCポスト栗山”侍ジャパン監督問題が迷走するワケ
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2023/09/24 17:00
第5回WBCで日本代表を率いて世界一に導いた栗山英樹監督。6月に退任会見を行なった
結果として当初は8月末の発表を目処としていたが、現実的には9月中も難しい状況だ。そしてこれだけ混迷してしまっていることを考えると、ひとまず新監督の選任をストップするのも選択肢ではないか、という声があるのも事実だ。
新監督の初陣となる「アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」は日本と韓国、チャイニーズタイペイにオーストラリアの4カ国が参加して11月16日に開幕する。この大会に出場するチームは、フル代表ではなく24歳以下の選手による編成だ。ならばあえて新監督にこだわらず、この大会だけファーム日本シリーズの優勝監督か、アンダーチームの監督を立てるなどした上で、フル代表の監督は来オフまでじっくり時間をかけて、改めて選任を進めるという手もあるという考えだ。その上で2024年11月に予定される「WBSCプレミア12」大会までに体制を整える。
そうなれば新監督の任期も、栗山監督と同じ1年半程度となる。来年になれば多少なりとも、第6回大会に向けたチーム編成の状況判断もできるようになり、ハードルは少しは下がるはずでもある。そこでもう一度、イチから候補をリストアップして、しっかり根回しをした上で就任要請を行う。
侍ジャパンの監督は想像以上の激務である。ましてや連覇を義務付けられる次期監督には、なかなかなり手がいないのは仕方ないことかもしれない。それでも3年後には誰かが侍ジャパンを率いて第6回WBCを闘わなければならない。
だからこそ行き当たりばったりではなく、まず要請する側のNPBにしっかりとした青写真が必要である。その上でNPBはもちろん関係各所が、新監督のサポート体制を整えた上で就任要請をする。その準備を整えるためにも侍ジャパンの新監督選びは、あえて急ぐ必要はないはずである。