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WBC栗山英樹監督の顔色が変わった“3人の選手”…帰国会見、TVに映らなかった“控え組”への気配り「スタメン出場はなかったんですけど…」
posted2023/03/29 11:03
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph by
Takuya Sugiyama
3月23日、17時30分。成田空港近くのホテルの会見場に、スーツ姿のWBC日本代表の選手たち26名とコーチが3列になってズラリと並んでいた。選手1人、1人がマイクを持って今大会の感想を述べていく。その言葉を栗山英樹監督はうつむきながらじっと視線を落として反芻する。だが、ある選手にマイクが渡ると、栗山監督は思わず視線を向けた――。
「あざしたー!」
右肩で花束を抱え爽やかな笑顔で、左手を振りファンの歓声に応える凱旋の指揮官。成田空港の到着ロビーに駆けつけたファンから「栗山監督~」という声とカメラのフラッシュが絶え間なく降り注ぐ。
選手たちががんばって勝ち切ってくれた
その1時間半後、スーツに装いを替え、空港近くの会見場で選手・コーチたちと記者会見に臨む。冒頭、空港での大勢のファンについて問われると、引き締まった表情でこう答えた。
「まずは日本でたくさんの人が応援してくださったんだなと空港に着いたときに感じました。選手たちががんばって勝ち切ってくれたのは、多くの日本の皆さんの思いが力になった(からだ)と思います。本当に感謝でいっぱいです」
栗山監督が思わず顔を向けた牧原のコメント
その後、コーチ、選手へとマイクが渡る。MLB組を除いた26人の選手がそれぞれの感想を述べていくと、栗山監督は真剣な表情で視線を落として1人1人のコメントを時折うなずきながら反芻する。しかし、ある選手がコメントをしている途中、栗山監督の視線が動いた。
「なかなかね、このすごい選手がいる中でスタートから(自分が)試合に出ることはなかったんですけど……」
声の主は牧原大成(30歳、ソフトバンク)。どこか悔しさも滲む言葉の選び方に思わず牧原の座るほうへと顔を向けた。