対談はさまざまな話にのぼった。それぞれ活躍する場は違えど、いかに観るものを魅了するのか。その共通した価値観を持つプロアスリート同士だからこそ、共鳴するものがあった。

――鈴木選手は、今日の対談を踏まえてサポーターにどんな姿を見せていきたいですか？

鈴木　俺らは負けたくて、試合をやっているわけではないんです。多分、サッカーにおいて観客は、選手が躍動していたり頑張っているところを期待して見ていると思うので、そのなかで俺らは100%でやり切って、一生懸命ゴールを奪いに行くところを求められていると思う。そういった躍動感のあるサッカーを見せていきたいですね。

蝶野　でもさぁ、銚子出身の鈴木君は、何か更生させようとしたらダメなのかもしれないなぁ。だから俺が監督だったら絶対に主将はやらせない。主将というのは、人の前に立って先頭に立ってついてこいという、いい見本にならないといけないけど、本当はもっとフリーな形でやる方がいいように見えるよ。暴れたらすぐ交代させちゃうし、フルで出さないで、途中から猪みたいに暴れさせて、危なくなったらすぐ引っ込める。そういう方が合っているような気がするよね。

鈴木　確かに、それ監督に言ってみようかな？（笑）

蝶野　もう鈴木君はクラブの顔なんだから。ずっとジュニアからアントラーズなわけでしょう？　生粋の鹿島だもんね。アントラーズのファンで応援している人たちも、漁師が持つような、ああいうフラッグを持っているの？

鈴木　持っていますね。

蝶野　あー、やっぱり気質だな。

鈴木　そうなんです。近いんですよ。しかもちゃんと悪そうな人たち（笑）。

蝶野　そうか、じゃあ同じようなタイプが応援してくれているんだ。気持ちもわかると。

鈴木　正直、分かります。

蝶野　そうなんだよね。それもあって、ファンの人たちも鈴木君だから言っているんだと。

鈴木　気持ちがわかるから。

蝶野　で、それを投げ返していると。じゃあこの真っ当なファンの人たちと選手たちの関係は放っておいていいね。

鈴木　そうですね、一旦置いといてもらって。勝手にやるので。

蝶野　ぜひ5月14日の名古屋戦も国立競技場へ見に行かせてもらうので、活躍を期待しているよ。

鈴木　ありがとうございます！

　鈴木自身、「今までで一番緊張した」と練習後のごとく汗だくになった、この対談がきっかけの一つになったのだろうか。その後、公式戦4試合連続ゴールを記録している。5月14日に行われるJリーグ30周年記念スペシャルマッチの名古屋グランパス戦に来場を予定している蝶野の視線は、背番号40を追い続けることになりそうだ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。