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「一、二軍関係なく競争してもらいます」新井新監督1年目のカープキャンプでレギュラーに生き残るのは誰か
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/01/30 11:02
秋山は昨シーズン途中に移籍し、44試合出場で打率は.265。今季はキャンプ前から目の色を変えてシーズンに臨む
昨年末の契約更改後の会見で胸の内を明かしていた。西武だけでなく、特に米国では厳しい現実を目の当たりにしてきた。プロで12年生きてきた嗅覚で感じるものがあるのだろう。
34歳のオフ、秋山は自身を追い込んだ。2023年シーズンだけでなく、3年、5年先のシーズンも見据えている。
「ただ目減りして終わっていきそうなので、踏ん張るというよりは、グッとアクセルを踏めるような準備を。それくらいの気持ちでやっていきたいと思います」
積み上げてきた技術や経験で若い選手の挑戦を受けるのではなく、キャリアを積んだ自分自身との戦いなのかもしれない。1月の合同自主トレのインターバル走では、年下の上本崇司、堂林翔太、野間らを常にリード。同じ本数を走り切った。
監督自身の競争を勝ち抜いた経験
世代交代は周りが促すものではなく、選手個々が這い上がり、新たな時代をつくっていくものだ。経験ある選手たちが若手の高い壁となることは、たとえ世代交代とならなくてもチームの底上げにつながる。
「競争なくしてチームの底上げはないと思っています。若手中心で行った秋のキャンプに、主力、レギュラークラスが加わってくるので、どういったものを見せてくれるのかという楽しみがあります」
新井監督が期待するのは、選手個々のパフォーマンスというよりも、チーム内競争における化学反応だろう。捕手に専念する坂倉将吾の挑戦を受ける會澤翼についても「黙ってないでしょうし、すごく気持ちが入っていると聞いています」と相乗効果を期待する。
新体制の初陣では新しいものに目が向くからこそ、受けて立つレギュラー組の抗う姿が注目される。
思い出してもらいたい。3連覇が始まる前年の2015年、監督交代による世代交代の波のなかで、ポジションを奪ったのが当時38歳の新井監督だった。
同年、阪神から復帰した当初はレギュラー待遇ではなかった。春季キャンプは個別メニュー、開幕しても9試合連続ベンチスタートという立場。10試合目での初先発出場も、新外国人のヘスス・グスマンの負傷離脱によって巡ってきたものだった。だが、16試合目以降は自らの手で定位置を勝ち取り、翌2016年にはリーグ優勝に貢献してセ・リーグ歴代最年長MVPまで獲得した。
35歳で今季に臨む秋山は、広島復帰1年目の新井監督よりも若い。新戦力が注目を集める春季キャンプ、自分自身と向き合い、時代の流れに抗う実績組の姿もチームの底上げにつながる大きなポイントだ。
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