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「一、二軍関係なく競争してもらいます」新井新監督1年目のカープキャンプでレギュラーに生き残るのは誰か
posted2023/01/30 11:02
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
JIJI PRESS
静かなる戦いが幕を開ける。個々の鍛錬に費やしてきた自主トレ期間が終わり、広島は2月1日から宮崎県日南市と山口県岩国市でキャンプインを迎える。
1月26日にはキャンプメンバーが発表された。一軍キャンプには新人3投手に巨人から移籍の戸根千明ら新戦力が参加。田村俊介や育成選手の木下元秀という若手も抜擢された。昨春キャンプも若手が多く選ばれたが、彼らの目の色は明らかに昨年とは違う。
最大の理由は監督交代にある。くすぶっていた選手や経験の浅い若手にとって、監督交代は飛躍のきっかけとなることが多い。実際、佐々岡真司前監督の1年目は、ケムナ誠や塹江敦哉ら若手投手が登板数を増やし、緒方孝市元監督の1年目には入団2年目の田中広輔が遊撃のレギュラーをつかんだ。
新井貴浩新監督の下でもきっと台頭する若手はいるだろう。秋季キャンプからメディアを通して、投手なら森翔平、野手なら二俣翔一といった名前が挙げられている。
分かりやすく世代交代を推し進める新指揮官もいる一方で、新井監督は強引に世代交代へ舵を切るようなことはしないように思われる。
「名前とかではなく、一、二軍関係なく、全員フラットな目で見ていこうと思います。野手も投手も全員に期待しています」
就任会見で口にした言葉は若手へ向けたメッセージであると同時に、ベテラン選手にも向けられたものだと感じる。全員がゼロからのスタート。特に野手でレギュラーを確約されている選手はいない。
各ポジションで発生する熾烈な競争
遊撃レギュラーと目される小園海斗も安泰ではないことを、新井監督はメディアを通じて発言している。
「何年後かにはカープの中心になれる素晴らしいものは持っているんですけど、確定ではない。競争してもらいます」
対抗馬には守備力の高い矢野雅哉に加え、田中広輔を2年ぶりに一軍スタートさせた。
外野は昨季の成績から見ると、左翼から西川龍馬、秋山翔吾、野間峻祥の並びが基本布陣といえる。ただ、3選手全員が左打ち。編成上、右打者を入れたいと考えても不思議ではない。日米通算1517安打の秋山も、強い危機感を持っている選手の一人だ。
「監督が代わるときは若い選手が出てくる可能性があるので、レギュラーで出て行く選手というのはそれをはね返していかなきゃいけないところもあるし、逆に自分がしっかりつかみにいかなきゃいけないところもあると思う。こういう切り替えの年というのは、シーズンの入りが大事だと思うので、しっかり準備します」