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WBC“サプライズなし”選考…異例の「発表前に選手がネタバレOK」の真意とは? “4人選出”ヤクルトGMにも電話していた「どうしても…」
posted2023/01/27 11:02
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
JIJI PRESS
14年ぶりの世界一奪還を目指す旅。晴れがましい出帆の記者会見の冒頭に、「申し訳ない」という言葉が出たあたりが栗山英樹監督の“らしさ”だろうか。
「なんとか行きます、と言ってくれた選手たちの中でも全員を選ぶことができなかった。そういう選手には本当に申し訳ないと思っていますし、大会が始まってからも選手の入れ替えは行っていくので、そういったことを含めて全員で戦っていきたい」
代表選手の名前を読み上げる前に自ら切り出してまず、“落選組”を気遣った。
会見前日の1月25日のスポーツ紙の報道によると、楽天・田中将大投手は栗山監督から直接電話を受け、選外となったことを伝えられていたという。故障者が出た場合などの予備登録メンバーに入る可能性はあるとはいえ、それにしても日本代表監督が選に漏れた選手に直接電話をかけるというのは珍しい。これまでWBCに2度、五輪に2度出場するなど日本代表に貢献してきた右腕の格を重んじるとともに、3度目の出場にも意欲を示していたその思いに礼を尽くしたのだろう。
「30人全員と電話」…これまでのWBC監督は?
栗山監督のスマートフォンはもちろん、“選出組”ともしっかり繋がっている。30人の全員と電話で話をしたことを明かし、興奮気味に振り返った。
「一人一人の選手と『戦っていきましょう』という思いをなんとか共有したいということで……(略)電話をした瞬間に直接一発でつながることもあるし、そうじゃない時もあるんですけど、電話がつながった瞬間の空気感といいますか、それは僕も初めてでしたし、緊張感もあった。『命がけでいきますよ』という言葉だけじゃない空気感というのは伝わってきていたので、自分の中ではその空気感だけで十分だったので。そういう選手の思いを無駄にしないように、けがのないように、しっかり勝ち切れるように、とその時は思いました」