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「ドラフト会議の後は、毎年5kg太りますね…」プロ野球スカウトが明かす“オフシーズンのウラ話”「ごちそう恐怖症になるんです」
posted2023/01/27 17:01
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
JIJI PRESS
シーズンオフは、少しはヒマになるんでしょう……と時候の挨拶とあわせて訊かれることがよくあるが、球場やグラウンドがなくなっても、オフの「野球の現場」は結構あるものだ。
この時期ならではの勉強会、講習会、ワークショップ……これがまた、知らないことを知れたり、ボンヤリとした理解をクリアな納得に変えてくれたり、私にとってはこれ以上ない機会になる。
そんな場所で耳に入ってきた、思わずへぇーっと思ったお話を3つ、お伝えできればと思う。
【1】「ごちそう恐怖症」
10月のドラフト会議以降、指名した選手との入団交渉、仮契約、本契約から入団発表と続く。スカウトたちがつかの間ホッとできるのは、1年のうちで、12月の後ろ半分ぐらいだという。
お正月が明ければ、すぐ新人合同自主トレがあるから、フランチャイズの町にやって来るルーキーたちを出迎え、お世話をしなければならない。
「ドラフトの後は、毎年5kgぐらい太ります」
今年は6kg太りました、とそのスカウトは笑う。ある球団のスカウト部門をたばねる立場で活躍中である。
「仮契約の後に、ではお祝いを……ということで、選手や家族、関係者の方たちと会食をするのが恒例になってるんですけど、それです」
そういえば、と思い出した記事があった。
昨年ソフトバンクがある指名選手の仮契約の場に、超高級ステーキハウスを利用したという話題が、スポーツ新聞で伝えられていた。政府が外国の要人を招待したり、テレビドラマ『ドクターX』の舞台にもなった名店だ。
「あれは、利用するつもりのホテルがいっぱいだったらしいですよ。はい、最近はホテルを利用することが多いですね。部屋を借りて仮契約して、中のお店でそのまま会食もできる。前後の日に泊まりが必要な時も、便利ですから」
仮契約で中華料理が多くなる理由
ドラフト前に、指名した場合の「あらまし」はそれとなく伝えてあるので、仮契約の場でもめることは、今はほとんどないという。